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進化続ける「さいたま新都心」


検証・改良重ね　満足度アップ

大規模再開発で、障壁を除去するバリアフリーや、誰にでも利用しやすいユニバーサルデザインの視点を取り入れて成功する事例が増えている。計画段階だけでなく、完成後も障害者や高齢者の意見を聞いて改良を続けるなど、発展性のある取り組みがポイントのようだ。（安田武晴、写真も）

障壁のない街

ＪＲさいたま新都心駅の改札を出ると、幅２３メートルの広々とした歩行者専用デッキにつながる。地上２階部分に設けられており、車は進入できない。車いす利用者やベビーカーを押した人たちも、ショッピングモールや庁舎ビル、ホテルなどに段差なしで行ける。

バリアフリーの街として知られる「さいたま新都心」（さいたま市、４７・４ヘクタール）。埼玉県やさいたま市、都市基盤整備公団（現・都市再生機構）などが中心となって整備し、２０００年５月にオープンした。

屋根付きのデッキには、視覚障害者用誘導ブロックはもちろんのこと、音声案内誘導装置が５３か所、触って現在地や行き先を確認する案内図が３２か所、バリアフリー対応のトイレやエレベーターも随所にある。ボランティア職員が常駐する窓口も設けられている。

ほとんどの飲食店は、車いすの人でも利用できる。歯が弱い人向けに料理を刻んだり、メニューにアレルギー物質を表示したりといった店も多い。

利用者の意見

県は、新都心の整備に先立ち、１９９７年２月、「バリアフリー都市宣言」を行い、９７～９８年には、障害者や高齢者など計１５団体から意見を聞く懇談会を開催した。

だが、オープン当時、新都心整備の担当だった山畠則義・埼玉県東京事務所副所長によると、懇談会での意見は設計に反映させたが、「どのように反映されたのかわからない」という批判もあった。そこで、オープン後の追加のデッキ整備などでは、現場で設計図を見ながら、障害者と意見交換を重ねたという。

視覚障害者には、模型を作って理解してもらった。山畠さんは、「『誘導ブロックの位置が壁に近すぎる』などの指摘を受け、設計図を手直しした。とても有意義だった」と振り返る。

その後も、「さいたまスーパーアリーナ」の入り口のスロープに屋根を設置するなど、現在も改良を重ねている。

新法に明記

バリアフリーの状況を、障害者や高齢者などが参加して検証し、改良を重ねる手法は「スパイラルアップ」（らせん状の発展）と呼ばれる。昨年１２月２０日施行のバリアフリー新法でも、国に推進の責務が明記された。

新法では、さらに、市町村がバリアフリーの基本構想を作る際、高齢者や障害者を含む協議会を設置できるようにした。市町村は、協議会も活用し、スパイラルアップを推進するよう求められている。

だが、ＤＰＩ（障害者インターナショナル）日本会議の今福義明・交通問題担当常任委員は、「新法では、基本構想の策定も協議会の設置も自治体の裁量に任されている。住民参加やスパイラルアップが実効性を伴うには、市町村が高い意識を持ってリーダーシップを発揮する必要がある」と指摘している。

バリアフリー新法

建築物を対象にした「ハートビル法」と、公共交通機関が対象の「交通バリアフリー法」を統合・拡充した法律。対象を一部の駐車場や公園にも拡大しただけでなく、駅と建物の間や、駅を中心とした地域全体など、連続的、面的なバリアフリーの推進を目指す。

（2007年7月4日 読売新聞）

おまけ＜今日7月5日は何の日？＞
1949年のこの日には、日本の黒い霧といわれる下山事件が発生しました。そして、1950年には、東京・後楽園球場で初ナイターが開催されました。

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