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7月終わりのドイツ出張で泊まったFrankfurt(M)郊外のNovotel。
いつものようにMTV2を眺めていた。 ドイツ暮らしが始まった頃はMTVなんぞ見なかった。流行曲には既に興味が無く、遺産としての音のみを追求する身に、商売のための使い捨て音楽を追いかける意欲は湧かなかった。しかし当地の最新の音欲しさに、照明代わりについTVを点けっぱなしにする日が続いた。後にこの習慣が思いがけない効果を生むなんて、何でもやってみなけりゃわからないものだ。 ドイツのケーブルTVではMTV2,VIVA,VH1等々のMusicTVがしのぎを削っている。MTV2ではご存知のように番組の合間にJackAssやSouthParkのような寸劇が口直しにちりばめられている。時折その枠で日本の青年向けアニメまでが含まれている。世界のMTV共通事項かもしれないが、5曲ぐらい毎に各種CFも挿入される。 ベッドに腰掛け見ていたそれらCFの中に携帯電話事業者のものを見かけた。ありきたりなKlingelTone(着信音)ダウンロードサービス曲目の紹介中に目に付く怪しい曲目: Dragostea Din Tei ふと、心と耳がそのリズムを捉えた。 うっ、、、出たな"典型"。 海を隔てた国々に 日本人は刀をさして歩いている と未だに信じている人々がいるのと同様、ドイツ人はClassicしか聞かない と信じている日本人は少なくないと感じる。お互いの"今"に関して新鮮な切り口になる情報量が共に乏しいのだから無理もない。 そういう点で意外かも知れないが、ドイツ人達は安直にノリのいい世の中平和系ビートをこの上なく好む。本当に好きなのだ、かわいいくらいに単純に。 2年程前にケチャップ・ソングなるものがラジオのTunerから溢れ出ていた。 Las Ketchupsというスペインのお姉さん3人の歌うこのリズムと不思議なTextはたちまちドイツに侵入し、侵攻し、侵略した。恐らく他のEurope諸国も無条件降伏したのだろうが 特にドイツ人達のやられっぷリたるや、ざまあなかった。 「最後の授業」 じゃないが 明日から皆スペイン語を話せと告げられ、今日からそうしますと答えるくらいの順応力だった。 老若男女が酒なぞ入ろうものならアハラヘ、ハッ、ッヘ、アヘレヘレなどと似非スペイン語で歌い振りまでつけて踊る。 おまえはどうだったかって? 聞かないでほしい。腕と腰の痛みを思い出したくない。 MTV2を眺め、幾多のゴミ曲に耐え、ようやく辿りついた生のDragostea Din Tei PromoVideo。 出た出た、このリズムとこのText。己のゲルマン魂からUKの湿度が抜けていく。Haiduciiと言う名のこの女性の容姿もイタリア贔屓のドイツ野郎達への媚薬になっているかもしれない。 ものの本によると、現在ドイツと呼ばれる地域は WW1以前は凡庸な平和主義者の集まりで、夜は遅くまで焚き火をして暖かい飲み物をすすりながら長話で過ごす事を無常の喜びとしている、戦争嫌いの腰抜け共とみなされていたらしい。 21世紀になった今でもアイリッシュは音楽の才能がある と言われるようにDNAの本質は不変なのだろうか。 *** Dragostea Din Tei *** Dragostea Din Tei by: Haiducii (はじめは男?に見えたこの方、れっきとしたMissなにがしだそうな。まだ世間を信じられてよかった。因みにこれは下記O-ZoneのカバーVersionである。) Dragostea Din Tei by: O-Zone (このO-Zoneがオリジナル。キッチュな映像をRealPlayerでどうぞ。) www.musiqueradio.com/videos/vids/ozone-dragostea.ram 余談: Dragostea Din Tei は2つのGpにより歌われ、ドイツを含むEurope諸国で互いにHitChart1位の座を争っていた(いる?)。7月下旬時点ではドイツの流行曲チャートの1、2位を週代わりで奪い合い、そのさまをドイツ人達は熱く語っていた。 どうしてそんな現象が起きているのか、興味津々なまま店頭に山積された2つのCDを握りしめMunich空港に向かった。 その理由に興味のある方はこちらをご参照下さい 日本ではどういう歌詞になるのか非常に楽しみだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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