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おいろーぱ野郎

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2005.02.27
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カテゴリ:das Thema
 一昔以上前、Muenchen郊外で失意の朝を迎えた事がある。事前に準備していたにも拘らず、持ち込み機材が通関に引っかかり、翌朝Brokerに連絡がつくまで空港近くのホテルに待機せざるを得なくなったからだ。
 清潔でしっかりした造りの部屋の窓の向こうには帯状の広告のようなものに囲まれた広い芝生があった。フットボールが国技なだけあって、小さな集落に一つはこういう場所が用意されているのだろう。誰の姿もないその草野球ならぬ草蹴球場は 涼しく青くそして高い秋空と静かに向き合っていた。
 当時、日本では深夜にBS衛星放送で欧州のサッカーチームによる試合を定期的に放送していた。対戦カードの中にはBayern Muenchenの名前も挙がっていたが、やがてその地に住むことになるまで、このチームの濃紺と赤のユニフォームのセンスの悪さにただ首を傾げるだけだった。

 先週、ホテル>最悪<入口奥にあるBar兼喫茶スペースに腰を降ろしていた時、ソファのある広間にはTVの前に各自の机を円弧状に並べ、グラスを片手に食事を待つ6-7人の男達がいた。  Barのカウンタ脇に据えつけられた小さなTVの映像から、この日が今年のチャンピオンズリーグ予選第一回戦に当たる事を知った。しかも放送されるのは英Arsenal対 独Bayern Muenchenという好カード。ややBayernに分が悪そうだが、楽しめそうだ。
 Arsenalサポータのこの中年男達は、TVをGKに見立て、敵に一同背中を向けつつFreeKick防御壁を構成するかのようなポジションに陣取っている。割を食った自分は、本を片手に男達の肩越しからゴールを狙うかのように画面を見つめる。やがてレストランからの食事がわざわざFreeKickの壁のそばまで運び込まれ、男達は食事は勿論、文字通りのかぶりつき観戦を楽しみ始めた。中央に位置する男のペテロのような後頭部が暗い部屋から注ぐ光を鈍く反射している。

 チャンピオンズリーグというのは、欧州各国のサッカーリーグに属するチームをリーグ内の成績と然るべき基準で選抜し戦わせ最強チームを決める催しで、毎年開催される。なお、4年に一度、EUROなになに(=年号)という欧州選手権が開催されるが、これはワールドカップ的な欧州限定版国別対抗戦である。
 どの国でもクラブチームは傭兵のようなプレイヤーが国籍を超え集う場所なので、チャンピオンズリーグではNationalismの戦いという色合いはやや薄まる。

 2000年頃のBayern Muenchenは本当に強かった。ドイツブンデスリーガでのリーグ優勝は勿論、欧州の並み居る強豪クラブチームを抑えチャンピオンズリーグに優勝、続く南米代表クラブチームと雌雄を決する一戦のトヨタカップにも勝利し文字通りこの世の春を謳歌していた。しかしその後は徐々に力を失い、桧舞台に立つことはあっても無様な負け方を晒してきた。

 自分は商業ベースで組織された強豪Teamには興味がない、というよりしらけてしまう。傭兵集団においては、概ね所属クラブからの報酬に比例しパフォーマンスが向上する。それが世の中の道理ではあるが、金に飽かす態度は極東の某野球チームで見飽きている。そういうクラブチームの代表格としてスペインのレアルマドリードや、ロシアの石油王が資本投下するUKのChelseaがある(後者は今季のプレミアリーグ優勝街道を驀進中。)
 ただ、財力でPumpUpされてない贔屓のチームを通じ、競技はカネが全てでないという証明の実現を追うファンも多いためこの産業が成り立っているのだろう。

 Muenchenでは、自分はむしろTSV1860というチームを贔屓としてきた。州のカラー白と青を取り込んだユニフォームに同じく州のモチーフとされるライオンをシンボルにする地味なチームで、地元ビール会社のLoewenBraeu(レーベンブロイ)が主なスポンサーになっている。同じ街が拠点であっても事実上ドイツを代表する立場のBayern Muenchenに比べ、TSV1860はBayern州およびMuenchen市の庶民を代表する印象が強い。

 ホテル>最悪<ソファーの間での観戦は続く。画面に馴染みのMuenchen Olympic Studiumが映る。そうこうしている内にあっけなくBayernが1点を入れた。シーズン無敗の偉業を昨年達成したArsenalの評判の強さからは想像できない展開だ。
 小用か何かのために壁から抜け出して戻ってきたペテロに「7-1で勝ってるぞ。」と余裕の冗談を飛ばす男。その後もBayernがArsenalゴールを脅かすたびに「どこ狙ってるんだ、あいつらに教えてやれよ。」と更に強がる。
 暫くして自分が席を外した隙に追加点が入ったらしく、応援団にも熱に浮かされた素振りはもはや無かった。結果として3-1という大差でこの試合は幕を閉じ、Oliver Kahnはいつものように憮然としていた。雪国でのawayが影響したかは判らないが、Arsenalの調子も悪かったのだろう。どこかで見たと思ったらArsenalのGKはドイツ代表をOli-Kahnと争っているLehmannらしい。

 チャンピオンズリーグのTV中継は、管理団体UEFAの意向なのか、放送される各国で実況の言葉は違っても番組の体裁自身は欧州+UK各国共通である。UKでは高額なケーブルに加入していない為 自宅でそれを観れないが、南ドイツでの呼吸を思い出しいよいよCF後に各ゴールの詳細をスローで楽しめると思っていた時、例のArsenal応援団が、まるでそこに何事も無かったかのようにTVのチャンネルを変えるという必殺技を繰り出してきた。
 この地では負けが決まった瞬間に今までPubのTV前で絶叫していた一同が突如別の話題に花を咲かせたり、手近の雑誌をおもむろに掴み突然読みふけり始めるという応用技もあるらしい。 珍しく調子のよさそうなBayernのゴールシーンをじっくりReplayで観たかったのだが、多勢に無勢、これ以上長居は無用と思い駐車場に向かう。
 ポット一杯の紅茶とビスコッティーノもどきで5GBP弱というのはちょっと高いが、里帰り気分の今晩は見逃してやろう。

 商業ベースの勝負の世界では勝者と敗者の距離はそう遠くない。昨シーズン無敗記録を持つArsenalが、現在リーグ首位とはいえ最近まで調子を落としていたBayernにあしらわれるというのも特に驚くような話ではない。そしてそれはフットボールに限らず、野球でもラグビーでもアメフトでも同じだろう。
 醒めた人には理解できない世界に違いないが、人々を競技にひきつけるもの、それは(賭け事を除き)見る側の自己投影をベースとしたチームへの思い入れに他ならない。
 競技と興行を同列に比較する訳ではないが、例えば極端で判りやすい例を挙げると、日本独自の文化といっていいプロレスがある。それは因縁や情念の渦巻く世界に観衆が自己投影することで判りやすくカタルシスを得る世界だ。
 そういう観点から、自分自身、ドイツ人にとってBayern Muenchenというチームが象徴するものが判るようになってきた。

 特にこの数年間、ドイツという国に元気が無い。
 景気は絶不調のまま推移し、改善の兆しが僅かにあるようだが失業率は高め安定。市場は冷え込み、企業では容赦ないリストラが続く。優秀の新卒学生といえども就職は厳しい。自動車業界をみれば、BMWは堅調とはいえDaimlerは片膝を付いている有様だ。
 比較的足腰の強い南でさえこの調子なのに、旧東独の諸州では何が起きているか想像するのも気の毒になる。そしてこれらの不安材料を解決する日がいつ来るのか、ドイツ人自身にも判らないように見えるのは気のせいだろうか。

 そんな時代にあって、Bayern Muenchenまでもが弱小チームに転落した暁にはドイツの市井の人々が自尊心を守るべく投影できる対象はシューマッハ-くらいしか残らないだろう。
 かつては自信満々だった小太り+ビール腹+中金持ちのおじさんが明日の見えない日々に物憂げにマッチで灯りをつける、そんな弱った姿はドイツに最も似つかわしくない。
 アンニュイなんか決して似合わないんだから、早く正気に帰ってしゃきしゃき働いて、もっと隣人から嫌われようよ、昔みたいに。なんたってそれがおじさんの真骨頂だし、その方がカッコいいんだからさ。

〔 To be continued / Fortsetzung folgt 〕







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Last updated  2005.03.01 11:44:51
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