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おいろーぱ野郎

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2005.04.03
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カテゴリ:das Thema
 イースター休暇の後、車のインパネに表示される外気温は20度に達し ようやく冬が終わった事を実感する。一応Commonと名のついた、近所のただの空地に植わった大木にちょっと緑色が現れたと思ったら、数日後には死に絶えたような枝の先々に若葉がこぼれ、風の通り道だった空間に大きな緑の球体が点描のように浮かび上がろうとしている。センターコート沿いの選手送迎玄関に面した通りの桜は盛りを過ぎ、一部に葉桜が見られた。空地に面する学校の斜向かいにある幽霊が出ると噂のPub前では 猫の額のような芝生に若者達が集い、座って語りあう。桜も木もなく一見小学生の遠足風景のようだが、天気がいいので気持ちは判るよ。
 
 先々週、A3の事故封鎖のため、勤務地まで迂回した際にたまたま通り過ぎた田舎町を今日訪れた。Epsomというこの小さな町の中心には、鐘と風向計のついた白茶レンガ造りの小さな塔の足下に広がる小さな市が出ていた。
 屋台の日除けの多くは白と緑のストライプで、初めはFranceの農家が出稼ぎに来たのかと思ったが、それらはSurrey州近郊の中小農家だった。
屋台には有機栽培で育った野菜や果物、アイスクリームやキッシュなどの軽食が並ぶ。南はWight島産のトマト、西はサンフランシスコSourDoughをくり抜いたボウルでサーブされるスープ(=看板口上のまま)に至り、例によってどこまで信用できるか怪しさギリギリの出店だ。
 勿論肉類も並んでおり、発育促進剤なしの豚肉使用ソーセージやベーコンなどをグリルで焼いて売る店もある。ドイツで食べるWurst(=ソーセージ)群や日本の例えばエッXンポルカなどという商品名のプリプリしたそれらを食べ慣れてなければ触手が伸びたかもしれない。焼けた肉のいい匂いが漂うが、頭は素直に反応できない。
 
 2000年頃、ドイツは狂牛病騒ぎに湧いた。ドイツ国内飼育牛にBSE感染の疑いアリと判ったからだ。確かSpain領のある島に飼育されている牛のBSE感染が報告され、それらが全てドイツからの輸入牛だったところから火がついたと曖昧に記憶している。
 それまでBSEは(口蹄疫等の様々な風土病を含め)UKの専売特許であり、時々フランスやポルトガルでも見られる症状であった。原因はUK産の一部の羊に含まれる異常プリオンというタンパク質で、死後に飼料として加工された羊肉を食べた牛に症状が顕れる。牛肉そのものか、その羊肉飼料を輸入していない限り理屈上近隣国での発症は予防できることになる。とはいえ流通の管理は困難であり、BSEに該当する羊を特定する事も相当な根気がなければ現実には不可能に近い。元々草食動物に羊の肉を飼料として与える事自体、自然の摂理を無視しているのだが、カネにならない道理は経済性の名のもとには無力である。

 狂牛病は十年以上前から知られていた事もあり、ドイツでは必要充分とされるBSEのFilter検査を行っていたらしい。しかしその基準が甘かったか、或いは条例として施行されていたにも拘らず実態はザル検査に陥っていたかで、農業関連の閣僚が数人 辞任に追い込まれた。ドイツ国内の牛肉消費量は通常の半分程度に落ち込み、赤い肉はスーパーで買い手を失い、冷蔵庫に陳列されたまま、冷たい視線にさらされていた。万単位の牛が、疑わしきは罰するというゲルマン的潔癖メンタリティに則り焼却処分された。人々の肉離れは進み、経済的インパクトが社会を背中から突いた。

 TVでUKやFranceの狂牛病騒動を見ながら、あんな国に住んでなくてよかったと安堵しブリブリとかじっていた熱々のBockWurst。それらが一夜にして怪しい食品としてのポールポジションを獲得するとは思わなかった。その当時から、牛肉以外は大丈夫という声を聞くが、食べた牛肉経由で人間に感染するタンパク質が同じ飼料を食べた豚や鶏には感染しないのだろうか。疑いを持たずに生きていくのは、この地に住むならウブ過ぎる。
 南ドイツからUKに異動したドイツ人同僚Cとこの話題になった時、真面目なCはホラー映画の語り部のように真剣な眼差しで自分を見つめ、友人の多くがベジタリアンに転向していると語った。なんだか地球最後の日が近づいているかのようだ。
 しかし食品汚染騒ぎはEuropeではちょくちょく起きる。99年にはベルギー産の卵に発ガン性物質が含有されていることが判り数多くの食品が市場でリコールされた。どこかの馬鹿者が鶏の飼料に配合する油に車の廃油か重油を混ぜ、その飼料がベルギー国内外に流通した結果の騒ぎだった。鶏や卵のみならず、例えば該当期間内に製造されたベルギー産チョコレートなどの加工食品も小売店のディスプレイから消えた。
 こういう騒ぎも度々起きれば慣れっこになる。別のドイツ人同僚にBSEの話を向けると、返って来た返事は、あっさり、「Too late」だった。

 確かにジタバタしたって始まらない。大体、飼料が原因なら他の国だって大同小異だろう。例えばイタリア人なんか一部を除いて真面目にBSE検査してるなんて思えない。つまり正直国がバカを見ていると言えなくもないだろう。海を隔ててるといっても、USなんて怪しいもんだ。勿論検査なんかしてないだろうし、万一発覚しても知らぬ存ぜぬを通すんだろう。その点、日本は飼料の流通という点で地理的にやや安心かもしれない。当時、そんな事を思っていた。
 ドイツでの騒動以降、暫く肉を避ける日々の中、日経ビXネス等に当時絶好調の吉野家の記事が載る度、舌を筆頭とする消化器官は はるか極東を慕った。

 やがて、日本政府はUK及びEuropeに生活する日本人に対し帰国後の献血・輸血禁止の方針を定めた。感染の疑いを持つ怪しい人間から本土の国民を守ろうという腹なのだろう。でも何もしてないのに線を引かれ、B級市民に格下げ扱いかい。Nazis政権下のユダヤ人達の気持ちが、ほんのN分の一、判る気がした。

 ところがそれから約一年程経ったある日、日本で初のBSE感染牛が見つかった。報道は日を追うにつれ、感染ルートを明らかにしていくが、感染の原因に関しては解明できぬまま、やがて別の感染牛発見の知らせが飛び込んだ。 

 狂牛病騒動の王座に位置するUKでは、異常プリオン感染経路および感染牛の特定と焼却などを行った。しかし現在もなお死者が出ている為、BSEは終わりではない、政府の口車に乗らず肉の検査を疑えという糾弾が遺族から絶えない。範囲特定が不十分というそしりは免れないが、それでもUK政府は焼却等のActionに踏み切っている(=道義的にそれが良いと言うつもりはない。生命はカネと等価ではないのだから。)即ちある程度感染をコントロールできている。
それなのに、その努力レベルに未だ満たない日本政府が、先のUK/Europe在留邦人献血・輸血禁止を解除したという話は聞かなかった。

 更に駄目押しで -- 勿論予想はしていたが -- USからの巨大なBSEの贈り物が、特定できない過去から現在に至るまで、日本に届いていた事が明るみに出た。
(結果、吉野屋の牛丼は食べようにも食べられず、お気楽なMediaは最早それを勇んで取り上げようともしなくなったが。)
 そんな中で献血・輸血禁止が未だ継続したままならば、一体何の意味があるのか。 本土がそんな有様でも、外の血のほうがよりヤバイという事なのか。自分の情報不足による誤解かもしれないが、もし悪い冗談が続いているならば、こちらから逆輸血拒否宣言を政府に通達したいものだ。

 2000年当時、南ドイツOfficeの食堂では必ず昼時にWeissWurst(=Bayern州特産の白ソーセージ)を食べていた。最初は肉固有の脂分が少なく食べ応えなく感じたそれは、慣れてくるとあっさりカマボコ風味で上品な美味さに変わった。ビールにも徹底して防腐剤などの混ぜ物を使わないBayernのこだわり、その土地の名物食品であるこの白灰色の肉は脱色によらない巧みの技の産物だろう。
 時々含まれる1mm程度の球形ゴム状物体はどこの部位からきたのか判らない、しかし知ったところで風味は変わらない。Officeに居る日には、ほぼ毎日WeissWurstにSuesserSenf(=蜂蜜入りの甘いマスタード)を塗り、食べた。ブニブニ且つサクサクと官能的なこの昼時の甘い生活は、Weekdayの少ない慰めの一つとして確固とした地位を得た。

 そして狂牛病騒ぎの後、ドイツに数あるWurstの中でも、牛が原料なのはこの白ソーセージだけという事を知った。数ヶ月経ち騒ぎが収まった頃、WeissWurstが消えた食堂には、”牛肉一切不使用“と謳ったそれがお目見えした。

 実直な北ドイツ人同僚Eがぼそりと呟く:「あれの原料は、、、(沈黙)、、、訳のわからないモノだ。」
 肉に限らず内臓など訳の判らない部位からなっている、と言いたかったのが沈黙の理由のようだ。骨の周辺部や小腸などは異常プリオン蓄積濃度が高いという。後で判ったが、BSE問題では禁忌の中核である脳 -- 即ち かなりヤバイ箇所 -- も、この白ソーセージ構成要素に加わっているらしい。

 その瞬間、一生分の甘い生活が去った事を悟った。そして最悪の場合、甘くない生活の終わりはほんの10年程度先の未来に到来するかも知れないことを。

 遺言書いとくから葬儀にはGipsy Kings とSex Pistols 両version の >My Way< をかけてもらうか。ああ、Carole Kingの >It’s too late< は、涙で棺桶から外が見えなくなるといけないから遠慮しとくよ。





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Last updated  2005.04.06 07:52:11
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