カテゴリ:日々の出来事
昨夜は研究会で、東京大学医科学研究所の中村祐輔教授のお話を拝聴してきました。超有名な先生ですが、意外にお若いので、まず驚きました。テンション高く、初めから終わりまで非常に情熱的な話ぶりで、あっと言う間の御講演に感じられました。
人間の遺伝子は、ある程度みんな同じなのですが、1千万ヶ所ぐらい個人個人で違うSNPという部位があり、その組み合わせで、一人一人の個性や体質などが出来上がっています。ある薬がよく効く人とあまり効かない人、副作用が強く出る人などの違いも、その薬に代謝経路などに関係しているSNPの違いが原因となります。人種の差もずいぶんあります。日本人と中国人とかはかなり似ていますが、黒人や白人とはずいぶん違うようです。日本人のなかでは、東京に住んでいる人と大阪に住んでいる人では、ほとんど差はありません。 ある薬が、服用する前から、どれぐらいの量が必要か、副作用の起こり易さがどれぐらいか分かったら、こんなに楽なことはありません。医師を悩ませる薬の一つにワーファリンという薬があります。血液を固まりにくくする薬ですが、少ないと血栓が出来て心筋梗塞や脳梗塞になり、多すぎると脳出血が起こったりして、コントロールが難しい薬です。人によってどれぐらいの量が必要か、ものすごく差があるので、しょっちゅう採血をして様子を見ないといけないのですが、これが、SNPの型をみると大体の予測がつくというのです。なんてすばらしい!2錠でいい人と10錠もいる人の予測があらかじめできたら、医師のストレスもずいぶん違います。 すでに、いくつかの病気の治療ではこのSNPは利用されていますが、一人一人のSNPがすべてICチップなどに登録されて、病院を受診するときにはそれを見ながら薬を決められるようになれば、すごく楽だろうなあと未来の医療に夢を馳せました。そんな未来は、思ったより早く来そうです。楽しみです。 注:SNPとはSingle Nucleotide Polymorphismの略で、一塩基多型とも呼ばれます。遺伝子はグアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)と呼ばれる4種類のDNAの並び方が、タンパク質の設計図となっていますが、そのうち人によって並び方が異なる部位のことをSNPと呼びます。(例:ACGCTA→ACGATA) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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