テーマ:今日の出来事(291737)
カテゴリ:生き方上手
最近受け持っている入院患者さんに、進行した胃癌の患者さんがおられます。
入院されてから3週間ぐらいになりますが、やはり病気の勢いが強く、栄養状態の悪化が急速に進んできています。 どうして、神経内科医が進行癌の患者さんを受け持っているかというと、癌になって、栄状態が悪くなる中で、ふらつきがひどくなり、転んで頭を打って、脳に出血が起こり、認知症になってしまったのです。ふらつきがひどくなった一つの原因は、極端な栄養不良によるビタミンB1欠乏だと思いますが、この段階で栄養を補給できていればよかったのですが、脳の出血が起こってしまったので、性格の変化や記憶力の低下が後遺症として残ってしまいました。私のところに来られたのは、脳出血を起こした後だったので、性格の変化などに対応する治療となりました。 「罪を憎んで人を憎まず」ではありませんが、脳にダメージが起こった患者さんは、性格が一変して、憎まれ口をきいたり、物を投げつけたり、嫌な人になってしまうこともよくあります。その人の本来の姿ではなく、病気がなせることなので、寛容になるしかありません。 精神に作用する薬を使って、穏やかになられ、家族をいたわるような発言も見られるようになり、家族の方には喜んでいただけましたが、認知症になっていなかったら、もっと最後の時間を家族とともに味わって大切に過ごせたのにと思うと、何だか残念でなりません。 厚労省の試案で、「余命3週間と診断されたら、本人の意思で延命中止が出来るようにする」という話が出て来ていますが、認知症は対象から除外されます。この患者さんの治療方針を決めるのは、家族と主治医ということになってくるんでしょうが、終末期をどのように過ごしたいのか、やはり一筆書いておいた方がよいのではないかと思う、今日この頃です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.06.06 18:29:34
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