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EYASUKOの草取り日記

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2006.06.05
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カテゴリ:音楽
 もう35年以上昔になるが、実家のある清水市(当時)の文化ホールの主催事業で、「よい音楽を聴く会」というのがあって、カール・ミュンヒンガー氏指揮、シュトゥットガルト室内管弦楽団によるバロック音楽の夕べが催された。学生だったわたしは、当然格安料金のA席である。静岡県の中部の音楽ホールで、唯一音響効果のよい(というよりは、音響効果を考えた建物)ホールは、清水市(当時)にあるこのホールだけであったため、人気のプログラムであったが、どういうわけか、中央のS席が、大きく空いた状態でコンサートが始まった。懐具合からA席から埋まっていったのであろう。
 1曲目はヴィヴァルディの「四季」、すばらしい演奏であった。ミュンヒンガー氏はじめ室内管弦楽団に聴衆の万雷の拍手が巻き起こる。すると、しばし拍手に応えたミュンヒンガー氏が、大きく手招きをするではないか。くりかえし、くりかえし、聴衆を前へいざなうのだ。「ほら、ここにもっと良く聴こえる席がこんなにあいてるじゃないですか、もったいないですよ、こちらへ移動しなさい」
 初めは戸惑っていた聴衆も、意を決して前に移動する。そのいっぱいになったS席スペースを見やって、にっこり微笑んで、ミュンヒンガー氏は何事もなかったように次のプログラムに取り掛かり、時は満ちてコンサートは終了した。この時の音楽のすばらしかったこととともに、このミュンヒンガー氏の所作は、35年以上経った今も鮮明にわたしの記憶に刻まれている。
 ものの本によると、欧州のコンサートシーンではよくあることらしい。音楽を楽しむという姿勢の違いを感じさせられた出来事であった。
  さあ、ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団による「四季」を聴きながら一日をはじめよう。





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Last updated  2006.06.05 08:50:25
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