全国的に社会科の未履修問題(というより、はっきり履修履歴偽装といったほうがいいんじゃないかと思う。耐震偽装と質的に一緒じゃないかしらん)は、あとからあとから、吾も吾もと続き、我が母校もその中に名前が挙がっていたのには、「やっぱり」という思いを禁じえない。
問題は二つあるのではないか。一つには公教育の場で、偽装が行われたこと。全国的に見れば、進学校の大半は公立高校であり、この事件に携わった教師は大半が公務員であること。偽装までしたのだから、これが「違反」であるということははっきりわかっていたはずなのに、服務規程ともいうべき学習指導要領に違背していたわけだから、これを糾さなければならないはずなのに、その点が不問に付され、「卒業できない」という曖昧な表現になっていること。
もう一つは、「受験勉強の邪魔になるから」ということで、基礎教養となるべきものの履修をカットしてよいのかという問題。理科系や、医学系などに進む生徒なら尚のこと、日本や世界がどういう成り立ちで現在に到っているのかを学ぶことをここでやっておかなければ、もうその機会はないかもしれない。受験だけが人生でないということを教えてあげるのも大人の務めではないかと思うのである。