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カテゴリ:音楽
いよいよハイドシェックの日本公演がはじまった。会場の相模湖交流センターは、2000円という破格の入場料の割りに8分の入り、もったいないことに、上の方に空席があった。 わたしは、かぶりつき。最前列の舞台向かって左側の5番、6番。まさにマエストロの神宿る手を堪能する至福の場所である。ピアノは、同センターにベーゼンドルファーがあるということで、期待していたが、ヤマハのコンサート用グランドピアノだった。 最初は、モーツァルトのロンド。少し緊張気味で、神経質な入り具合であったが、5年前の草津音楽祭以来のソロ演奏は、順調なすべりだしで始まった。第一楽章の終了の後、聴衆から拍手が出てしまったせいなのか、第2・第3楽章は続けて弾いていく。以後そのスタイルとなる。 以前コノブログにコメントをお寄せくださったchachatさんは、ハイドシェックの愛弟子で、来日直前のハイドシェックが、自宅でコンサートメニューを、お弟子さんたちに披露する様を、そのブログに書いてくれているが、その様子を思い浮かべながら、次第に勢いを増すハイドシェック節に引き込まれていく。 プログラム前半の最後は、テンペスト。70歳とはとても思えない、若々しさ溢れる演奏に、万雷の拍手である。この日の最高潮の瞬間である。 幕間、以前宇神幸男氏が、宇和島でのハイドシェックの様子に、その鍵盤を打つ力のすごさ、1ステージ終了後には、調律がガタガタになってしまう、ということを書いていたが、調律師の方が出てきて、入念に調律を始める。いまさらながらに、テンペストの熱演を感じる。 後半は、少しお疲れかな、と感じるところもあったが、なんとか無事プログラムが終了した。万雷の拍手の聴衆に応えて、アンコール一曲目は、定番のヘンデル。2曲目は、モーツァルト、3曲目は「今日はグリーグの誕生日なので」と、ラ・マルセイエーズのグリーグ風、そして、なんと4曲目までアンコールに応えてくださった。4曲目はバッハの美しい曲。 chachatさんのお話では、来日初日は、眠りが浅く、疲れることが多いとのことであったが、多少そのようなフシも見受けられたが、あれだけのテンペストを聴かせてもらえれば、言うことはない、という出来栄えであった。 アンコールの際、右手と左手が交差し、マエストロの左の親指を垣間見る。すばらしく大きな親指であった。 続く東京、藤沢、大阪の公演も期待できるのではないだろうか。また、アンコールの闊達な展開から、3月7日の高知での「カルト・ブランシュ」に、大いに期待を寄せるものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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