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カテゴリ:音楽
禅の悟りをわかりやすく教える考え方から生まれた「十牛図」というものがあります。 童子が牛を追い求める様を10枚の絵であらわしていくのですが 最初は、牛の姿さえ知らなかった童子が牛とは尋ね歩くものということを知り(尋牛) その足跡を見つけ、実在を実感し(見跡) さらには、その一部を見(見牛) さらに追いかけて、やっと牛を捕まえます。(得牛) そして、牛を飼いならすことに成功します。(牧牛) 牛と童子は一体感に包まれ、童子の家に帰っていきます。(騎牛帰家) 牛との一体感が、童子に牛のことを忘れさせます。 牛は、実は童子の中にあったのです。(忘牛存人) もう、牛を失ってしまうなどと悩むことはありません。 牛は童子であり、童子は牛です。真の悟りは自身の中にこそありました。(人牛倶忘) この境地はまったき「円」で表されます。 「色即是空」の「空」とは、この「円」で表されたものであるとも言われています。 この「空」の境地から見ると、自分も自然の一部として生かされています。(返本還源) 翻って世を見ると、まだ悟りを得ていない者が多くいます。 自分のレゾン・デートルは、これらの人々の済度にあることに気付き、 すべての人の救いのため手を差し伸べることこそが 自分が悟りを得た真の意義であることに気づくのです。(入てん垂手) 牛は、悟りであり、また各種技藝の修行とも考えられます。 ハイドシェックは、素晴らしいピアニストでありますが また、長くリヨン音楽院で教鞭を取り 退職してから後も多くの後進の指導に当たっています。 彼のこの姿勢が なぜか、この「十牛図」を思い起こさせる その精神性に、この東洋の思想に似たもののあることを、みなさまにお伝えして 感動深かった2008年ジャパンツアーの感想のしめくくりとしたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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