|
カテゴリ:旅
夏のロシアは、思いのほか暑かった。
日本の蒸し暑さとは違い、空気が乾燥していて ちょっと歩いただけで、すぐに冷たい飲み物が欲しくなる。 当時のロシアはとても貧しく、店はあっても品物がない。 あとになって、お金さえ出せば豊富とは言えなくても物はあるんだ と気付くのだが、とにかく街中には哀しくなるほど物がなかった。 モスクワを歩いていた時のこと、モスクワは都会だからか 他の町では見ることのなかった飲み物の自動販売機があった。 自動販売機といっても、日本にあるような豊富な種類のお茶や ジュース、コーヒーがガチャンと出てくるようなものではない。 プラスチックのコップが、さかさまに設置してあって、それを 反対にして置いてお金を入れると、何味かよくわからない飲み物が 出てくる。飲み終わったら、またコップをさかさまに置く。 すると、水がジャッと流れてコップの飲み口を洗うという仕組みだ。 私たちは衛生面に不安を覚えながらも、物を大切にする精神に心打たれた。 そのジュース(?)が一杯2カペイカ。100カペイカが1ルーブルで、 当時のレートは1ルーブルが5円だったから、2カペイカのジュースは 1円もしない計算だ。 その時、2人のお財布の中には、2人合わせて2カペイカコインが一個だけ。 ジュースを半分ずつ飲もうと、コインを入れた。でも、何度入れても コインはカタンと落ちてくる。壊れてるの~?喉カラカラだよ~・・・ 通りがかりの小さな女の子を連れた男の人が、にっこり笑って 1カペイカコインを2枚入れてくれた。ジュースが出てきた。 そうか、2カペイカが1枚ではダメだったんだ・・・。 お礼を言ってお金を返そうとすると、その男の人は笑って、 手を振って行ってしまった。 ミーシャとレナの収入は、2人合わせて1ヵ月6500円。 私たちは、彼らの収入の数年分を使って旅をしていた。 2カペイカのジュースには、優しさに出会った感激と、ちょっと辛い 思い出が残っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 29, 2005 02:16:06 AM
コメント(0) | コメントを書く
[旅] カテゴリの最新記事
|
|