映画館での驚き
最近映画館で映画を見ることがほとんどなくなってしまった。インターネットで見れるようになったことも大きいが、そもそも映画館で見たいと思う映画が無くなってしまった。 アメリカ留学時代はよく映画を見に行っていた。集中できるので普段テレビを見るより英語が理解できると言う語学の勉強という側面もあったが、アメリカでは映画の値段が安かったことも大きな理由だ。 お父さんが学生のころは日本の映画は1本が1,200円~1,500円ぐらいだった。今では1,500円から2,000円ぐらいかかる。非常に高い。家族5人で映画に行って、飲み物やポップコーンなどを買うと1万円を超えてしまう。 アメリカではすべてが安かった。学生だったので昼間に映画館に行くと安い映画は3ドルぐらいで見れたし、通常の料金でも5ドルから8ドルぐらいが普通だった。こんな値段でちゃんと利益が出るのだろうかと不思議に思ったものだ。 そもそもアメリカではフラッと行って、フラッと見るぐらいの感覚で映画を見ていたように思う。今ではどうかわからないが、それぐらい映画は身近なものだった。出かけた先で時間が空いたので喫茶店でコーヒーを飲むのに近い感覚で「映画でもみるか」と映画館に入ったことが結構ある。 さて、日本では映画館では周りに迷惑にならないように「静かに」観ることが当たり前だ。笑ったり悲鳴が出ることはたまにあっても基本的に映画間では静かに干渉している。ところがお父さんが経験したアメリカの映画は、アクションシーンでかっこよく決めると口笛を吹いたり、歓声を上げたりと結構うるさくしても問題ない雰囲気だった。遊園地のヒーローショーを見る子供の様に映画を楽しんでいた人が多かった。 100年後でも日本でこのような現象は起きないだろうと思う。また今のアメリカでこれほど人気が出る映画があるのかとも思う。アメリカで経験したとても楽しく忘れられない思い出の一つだ。 一番驚いたのは、映画終了後にスタンディングオベーションをすることだった。ほとんどの映画では日本と同じように上映が終われば何もせずに立ち上がって劇場を出る。ただし最高に面白くて盛り上がった映画では、観客が立ち上がって拍手をするのだ。演劇や講演会ならわかるが、映画でこれを初めて見た時には本当に驚いたが、お父さんも周りに合わせて立ち上がって拍手をした覚えがある。 ちなみに初めてスタンディングオベーションをした映画はディズニーの「トイストーリー2」である。上映中も観客は大爆笑を続けていて、お父さんも雰囲気に乗せられて興奮しながら見ていた。映画が終わった瞬間、スクリーンに向かって8割以上の人が立ち上がり拍手をしたり、口笛を吹いたりとまるでそこに出演者がエンディングの挨拶をしているのかと錯覚するようにスタンディングオベーションをしていた。これは日本では絶対に見れないと文化の違いを感じたが、とても楽しい経験だった。 もう一つスタンディングオベーションを経験した映画が、「スターウォーズ・エピソード1」だ。アメリカでは当時、封切前から大騒ぎしていた。お父さんがホームステイしていた家の長男は、封切当日の初回のチケット(深夜0時過ぎ)を手に入れて何日も前から大興奮していた。 そしてかれは、チケットをとるためあちこちに手をまわしていたらしく封切後3日目ぐらいのチケットをお父さんにプレゼントしてくれた。お父さんは興奮してスターウォーズを見に行った。見に行く前にスターウォーズの前3作を見直したりして予習も欠かさなかった。 映画館に入ると、スターウォーズの仮想(今でいうコスプレ)をしている人がたくさんいてとにかく盛り上がっていた。映画が始まりキャラクターや役者が映し出されるたびにものすごい歓声が上がった。後にも先にも映画でこれほどすごい歓声は聞いたことがない。アイドルグループのコンサートで熱狂的なファンに囲まれたらこんな感じなのだろうか。 そして最後のスタンディングオベーションを楽しんだ。いつまでも拍手が鳴りやまず、放送で「退出してください」と流れるぐらいの盛り上がりだった。映画が安い スタンディングオベーション