息子の盗癖
先日お父さんにとってもお母さんにとってもショックな事件が発覚した。息子が20万円近い現金を家族から盗んでいたという事件だ。主にお母さんが手芸のイベントなどで稼いだ売り上げの箱から盗っていたいたらしいが、ほかにも家に置いていた現金が微妙に減っていたようだ。 最近あまりにも息子が羽振りが良く買い物をしていて、月2,000円の小遣いにお年玉を入れたにしても、自他ともに認めるほどのケチである息子の行動には思えなかったとお母さんが言っていた。胸騒ぎがおさまらないので息子の部屋を軽く捜索したらあるはずのない大量の現金が見つかったとのことだった。 帰宅した息子を問い詰めると比較的あっさりと盗んだことは認めたらしいが、減っている額と息子が盗ったと申告した額が合わなくて、さらに問い詰める結果になったようだ。徐々に盗ったと認めた金額は増えているらしい。 さすがに金額が金額だけに、お父さんもお母さんも怒るというより「何が起きたかわからない」状態になってしまった。息子がお金を盗んだ。それも常識では考えられない額を。正社員でフルタイムで働いている人の月給レベルである。パートタイムで働いている人にとっては3か月分ぐらいだろうか。ベトナム人なら半年分である。 話を聞いてからお父さんはあまりにもショックで仕事が手につかなくなってしまった。頭がボーとして動悸が止まらない状態になった。いったいどうして息子はこんなことができる人間になってしまったのだろうか。自分がやったことの意味が分かっているのだろうかと。 息子がモノやお金を盗んだのはこれまでにも何度かあった。特に長女の部屋からお金を盗んだことが何度もある。そのたびにお父さんがトラウマになる程しかりつけてきた。 小学生の頃はお小遣い制ではなく、必要な時に必要なものを買い与えていたので、数百円レベルとかなら何となく気持ちは理解できた。 中学生になってお小遣い制になると、自分がいかに馬鹿なことをやっていたかと自ら反省の弁を口にするようになっていた。俺はもう絶対に信用を裏切るような真似をしないと。人生損をするということがよくわかったと。 お父さんもお母さんも口では「まだ信用されるほど実績をつんでいない」と言っていたが、心の中では「よかった」と信じていた。 そのタイミングでのこの事件である。いったいお父さんたちの育て方の何が悪かったのか。ひたすら悩んでいる。今後息子を心から信じることはできないだろうと思う。家族のお金だから警察に届けることは無いが、これが他人のお金であれば十分窃盗罪に値する犯罪である。 息子は善悪の判断はできていると思う。でも盗みたいという衝動を抑えられないのだろう。ひょっとしたら精神病なのかもしれない。まあ病院に通って薬を飲めば直るようなものではないと思うが。 お父さんもお母さんも今回の件は一生忘れないだろうし、一生息子を信じることは無いだろう。親としてこれほど悲しいことは無い。