息子がカレイを捌く
先日久しぶりにカレイ釣りに行ってきた。本当はタラが釣りたかったのだが、不漁で釣れないからカレイ釣りに変更になったと船長から前日に連絡が入った。元々タラ釣りをしてからカレイ釣りへのリレーの予定だったので、タラ釣りが無くなっただけなのだが、お父さんとしてはタラがメインだったので残念であった。 とはいえ、カレイ釣りも久しぶりだったので、それなりに楽しむことができた。ムシガレイが目的だったが、マコガレイなども釣れて釣果はまずまずで家に帰った。 カレイ釣りは朝6時集合で、我が家から港までは1時間以上かかる。午前4時には起床して出発するので、帰宅すると眠さとだるさでボロボロになっている。その状態で釣りの後片づけと魚の調理をしなくてはならないので、船釣りの日は本当に疲れるものである。本来ならゆっくり魚をさばいていろいろな料理にしたいのだが、魚をおろすだけで精いっぱいで、料理に力を入れることができないのがいつものパターンだ。 今回自宅に戻ったら、息子が暇そうにソファで携帯をいじっていた。最近は部活が忙しくてなかなか一緒に釣りに行けないのだが、以前はよく息子も一緒に釣りをしていた。息子が魚を捌けるようにと何度か教えているが、ヒラメのような高級魚ではもったいなくてなかなかすべてを任せられない。その点今回のカレイは値段がつかないような、ついても1匹300円ぐらいで買えることもある魚である。これはチャンスだと思って息子にカレイを捌くようにお願いして、道具の片付けを始めた。 息子はYOUTUBEなどを見ながら、魚のおろし方をチェックして、さらに包丁を研いだりして気合が入っているように見えた。テスト勉強の息抜きとしてちょうどよかったのかもしれない。 息子が研いだ包丁を後から確認したが予想通りひどいありさまだった。かえって切れなくなったのではないかと思われる。次回お父さんが使う時にもう一度研ぎ直す必要がありそうだ。まあYOUTUBEで見ただけで、包丁が研げるようになるとはお父さんも思っていないし、こういうことは何事も経験である。包丁は研ぎ直せばよいのでそれほど痛手ではない。ただ息子が「うまく研げなかった」と認識しているかどうかは不明である。 釣りの後始末をして、息子がキッチンで魚と格闘しているのを遠目に身ながら、お父さんはソファでぐっすりと眠ってしまった。息子には刺身と煮つけ用の切身、そして一夜干しを作るようにお願いしておいた。 夕食だとお母さんに起こされて、カレイの刺身を楽しみにテーブルに着いたところ、どこにも刺身が見当たらなかった。刺身を出すように息子に言ったら、作っていないという答えが返ってきた。おそらくカレイの5枚おろしが面倒くさくてやらなかったのだろう。カレイは煮つけ用のぶつ切りとして冷蔵庫に入ったものと、一夜干し用に内臓を抜いて塩水につけ、すでに干されているモノになっていた。 釣った魚を刺身で食べるのが釣りの醍醐味なのだが、結局その日は刺身を食べることができなかった。息子にやらせた意味もなくなってしまった(5枚おろしを練習させたかった)し、お母さんが別の料理を作ってしまったので、煮つけも食べることができないという、釣りをした日としては、実に残念な夕食であった。 ちなみに翌日帰宅して、煮つけ用の切身から無理やり刺身を作って食べたらとても美味しかった。ただ切身になっていたので、1枚がかなり小さくなってしまったことが残念であった。 さらに付け加えると、息子の作った一夜干しはまるで塩気がなく、見た目はいい具合だったが味がまるでないモノになってしまっていた。 今は子供として扱われているので、これでよいのかもしれないが、今のうちにきちんと覚えておかないと将来恥をかいたりバカにされることも考えられる。魚を捌くことができる女性と結婚できると良いのだが、なかなか難しいだろう。まあ息子の人生にあまり口を出すつもりはない。魚が捌けない男などいくらでもいるのだから。お父さんも釣りを始めてから覚えただけで、息子の歳に魚をさばいていたわけでは無い。 お父さんが残念なのは、釣りから疲れて帰ってきても、息子には魚の処理を期待できないということだけだ。お母さんも当たり前の顔をして、魚がもったいないから今後はお父さんが捌くようにと言ってくる。次にカレイを釣ったとき、息子にもう一度やらせるべきか、それとも自分で捌くべきか、悩んでしまう。