久しぶりのベトナムで
久しぶりにまたベトナムに出張に来た。今回は2か月強の滞在予定である。ベトナムはこれから雨期に入るところだ。ベトナムの雨季とは、日本の梅雨のようにじとじとと長雨が続くのではない。熱帯のようなスコールが頻発する季節の事を言う。逆に乾季には、つゆの様にじとじとと霧雨のような雨が続くことがある。 さて4月も終盤になると、完全に雨期の季節となる。お父さんはそんな気候の変わり目にベトナムにやってきた。仕事をしている時は、外でスコールがあっても特に問題はない。まあ雷によって電気に支障が出るのを警戒するぐらいだ。 真上で雷がガンガン鳴っている時には、電気の影響を受けやすい機械は待機状態にする。昔は雷で何度も瞬間的な停電(いわゆる瞬停)によって、機械が壊れたり製造中の製品に支障が出たりしたが、最近はベトナムの電気状況もだいぶ良くなっている。 ベトナムについて早々であるが、週末のハノイに食事にいった。宿泊するホテルのロビーで同僚と待ち合わせをし、ホテル近くの中華料理屋へ歩いていくことにした。距離にして500mぐらいだろうか。10分も歩くことはない距離である。 いつも通りなら、ゆっくり話しながら歩いて到着し、ゆっくりと食事をして歩いて帰ってくるのだが、この時は運悪くスコールに当たってしまった。 ホテルを出た時に遠雷が聞こえていたが、上空の様子は暗くてわからなかったので、気にせずに歩き始めた。ところが目的の店まであと100mぐらいと言うこと頃で、いきなり大粒の雨が降り始めた。 スコールの降り始めもいろいろ種類があって、ぽつぽつと大きな雨粒が降り始めてだんだん強くなるパターンもあるが、今回はいきなりの強雨のパターンだった。 店まであと少しなのだが、傘も持っていないので軒先で雨宿りしながら少しでも雨が弱まったら歩き出そうと待っていた。しかしながらスコールは強くなるばかりで風も吹いてきたため、軒先でも濡れるようになってしまった。 仕方なく覚悟を決めて、店までの残りの距離を濡れながら走った。おっさんの走りなので実際は早歩き程度でしかないのだが、何とか店までたどり着いた。 もちろん体はずぶ濡れである。お父さんはタオルを常に持ち歩いているので頭から服までとりあえず全部拭いて店に入った。同僚はハンドタオルしか持っておらず、拭き切れていなかったので、髪の毛がかなりしっとりとしていた。まあお父さんもふくはべとべとに体に貼り付いた状態ではあった。 食事を美味しく食べて1時間ほどで店を出ることにした。店の外はスコールの名残で小雨が降っていたが、これぐらいなら恐れることはない。それでも歩くとそれなりに濡れそうだったので、お父さんはタクシーを呼ぶことにして店の前で待っていた。 同僚は買い物しながら歩いて帰ると言ったのだが、店内が禁煙だったため、お父さんの隣で一緒にタバコを吸い始めた。 1本を吸い終わるのを待たずして、スコールがやってきた。来た時に降っていた強雨よりもさらに強い雨となってしまった。同僚に買い物をあきらめて一緒にタクシーで帰ることを勧めたのだが、彼はタバコが切れていると言って、歩いて帰ることをあきらめなかった。しばらくといっても5分ほどだが、待っていても一向に雨脚は弱くならない為同僚は店の軒先から走り出し、行ってしまった。後から聞いたら入店した店で、店員に「大丈夫ですか?」と心配されるくらいにずぶ濡れになったようだ。 お父さんはタクシーだったので、乗り降りの際に濡れるぐらいだと思っていたら、タクシーがなかなかお店にたどり着かない。タクシーと言ってもGRABという白タクのアプリを使って呼んだ車なので、スマホで車の現在位置がわかる。どうも近くの道をうろうろしているようだった。 このままではいつまでたっても店にたどり着かないと思ったお父さんは、スマホの現在位置から少しタクシーに近づくため軒先を出た。 その瞬間、シャワーでも浴びているようなスコールにさらされて、結局お父さんもずぶ濡れになってしまった。タクシーの中でひたすら体を拭いていたが、まあパンツまでは濡れなかったので良しとするぐらいしか考えられないほどずぶ濡れだった。 一つだけ運がよかったと思ったのは、スコールの最中はタクシーの需要が増えるので、なかなか捕まらないことがある。お父さんは強雨になる前の小雨状態でタクシーを予約できたので、そこだけは運がよかったと思う。後は全部だめである。 ベトナムでスコールを食らいずぶ濡れになったのは、かなり久しぶりだった。まあ気温が高いのでちゃんと拭いて、すぐ着替えればそれほど風邪などの心配はしなくてよいのがベトナムのスコールの良いところだ。 ベトナムに到着早々スコールの洗礼から始まった今回の出張であるが、うまくいくことを祈りたい。