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お父さんから子供たちへ

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2020.01.28
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カテゴリ:エッセイ
まもなく節分である。お前たちにとっては普通の節分だろうが、お父さんにとっては異国の節分だ。今日は、異なる地方同士の夫婦におこる季節イベントの違和感について話そうと思う。

 お前たちも知っている通り、お父さんは静岡県出身、お母さんは青森県出身だ。お前たちは岩手県で育っているのでお母さんとお前たちは比較的違和感なく季節後のとイベント、例えば節分などの行事を行っている。

 ちなみにお父さんの生まれ育った節分で使う豆は、「いった大豆」でありそれ以外の豆を使うことはなかった。しかしながらお母さんと結婚をして、さらに岩手に移り住んだあと、節分で使う豆は「殻付きの落花生」だ。お父さんから言わせれば「豆感が無い」。ぼてぼてと殻付き落花生を撒いてもしっくりこない。果たして豆が苦手な鬼は、この殻付き落花生を怖がるのだろうかと考えてしまう。

 でもお母さんに言わせれば、床にまいた大豆をそのままだべるより、殻付きなら殻を外して食べるのだから床にまいた後も衛生的に優れているということらしい。更に掃除も楽なので一石二鳥だそうだ。確かにそうかもしれないが、やはりお父さんにはしっくりこない。
 だいたい、殻付き落花生には1つの殻に基本的に2個の豆が入っている。年の数だけ豆をだべるとき「殻付きの状態で数える」のか「むいた後の豆の数」で数えるかもはっきりしない。

 季節のイベントでの違和感はまだまだある。例えばお正月。静岡県は暖かい。だからお正月も外で凧揚げや羽根つきなどお正月の子供の遊びができた。岩手や青森では寒い上に雪が降っていたりしてとても子供が外で遊べる環境ではない。東北では子供は家の中だけで正月を過ごすものらしい。初詣は雪を踏みしめながら行くものらしい。
 ちなみにお母さんが静岡で正月を過ごしたときは、暖かすぎてまったく正月感を感じなかったそうだ。死蔵化のお正月の暖かさは、お母さんにとって南半球で夏に迎えるお正月ぐらい違和感があるそうだ。

 年越しそばも、お父さんは夕食として「ざるそば」を食べていたが、お母さんは日付が変わる寸前に「暖かい汁そば」を食べていた。だから静岡で正月を過ごせばお母さんが違和感だし、青森でお正月を過ごせばお父さんが違和感だらけだ。

 お雑煮もお父さんは「具がほとんどなくお餅メインのお雑煮」、お母さんは「根菜類の具がたっぷりのお餅がどこにあるかわからないようなお雑煮」が慣れ親しんだものだ。

 これはどちらが正しいとか優れているというものではない。出身地が遠く離れた夫婦が味わう醍醐味だと思う。たまにどちらが良いかで喧嘩したり、相手をバカにしたりする夫婦やカップルがいるようだが、お父さんから言わせれば精神的に幼い人たちだと思う。

 お前たちが将来どんな人と結婚するのか、結婚できるのかもわからないが、出身地の習慣が全く異なる人と結ばれた時にこの違いを楽しめる夫婦であってほしいと思う。地元が同じ人と結婚したとしても生まれ育った家の違いは必ずあると思う。自分の習慣を押し付けずにお互いの違いをぜひ楽しんでほしい。

 すでにお父さんたちは結婚して15年以上過ぎている。それでもたまにお互いの文化の違いに驚くことがある。本当に面白いものである。





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最終更新日  2020.01.28 00:10:08
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