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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
お父さんの好きなNHKの番組に「魔改造の夜」というのがある。毎回3つの団体が、市販されているおもちゃを改造して、決められたゲームで競い合うという内容の番組だ。内容の発表から本番まで期限が短いこと、改造費が少なく創意工夫が必要なことなど挑戦するチームは大変なのだが、見ていてとても面白い。
お父さんは学生時代、エンジニアになると決めた後に一番つきたい職業はおもちゃの開発だった。ソフト系のゲーム開発ではなく、物理的なおもちゃだ。おもちゃというのは目的が人間(主に子供)を楽しませることであり、世の役にたつとか家事が楽になるというような崇高な目的を気にしないで済む。 どれだけバカなことをして、どれだけ子供を楽しませるかという発想は、あまり頭の良い人にはできないと、劣等エンジニアのお父さんは考えていた。
昔から人を驚かすというかからかうというか、とにかく笑わせることが好きだった。おもちゃの一番の評価は、親が「くだらない」と思うのに子供が「面白い」と思うものだとお父さんは思っている。 人生において全く役にたたないけれど面白いモノを作ってみたかった。
現在はエンジニアとして、世の役に立つ機能をもつ部品を作っているが、魔改造の夜という番組は、お父さんの夢に実際に取り組んでいるような番組である。大手企業、中小企業、学生の3チームで競い合うのが基本だが、どのチームも極めて真剣に、本気でバカなゲームでトップを目指して取り組んでいる。 負ければ、もしくは予定通りに動かなければ涙を流して悔しがる姿もとても良い。実際に予定通りの結果を出せるチームはなかなかいない。
お父さんはこの番組を見ながら、自分だったらこういう改造をしてみたいとか考えるのが大好きである。また各チームの仕様を見て、このチームが勝つのではないかと予想するのもとても楽しい。
お父さんはこの楽しさを子供とも共有したいと思っていたが、我が家の子供達はエンジニアにまるで興味がないまま成長してしまった。上の二人は理系に進んだが、どちらも生物系で工学には興味がないという。これは好みなので仕方がないが、生物系は命を扱うことが多く、倫理的な問題や安全の問題で工学系より制約が多い上に成果を出すのに時間がかかる。
その点エンジニアは魔改造の夜の様に、あらゆるアイデアをそれほど倫理的な制約なく実現することが可能だ。狙った結果を出すのは苦労があるが、生物を扱うより自由度が高い。会社の仕事でもそうなのだが、教科書にないようなことを考えて実現するのがエンジニアの楽しみの一つである。 子供が3人もいるのだから一人ぐらいお父さんの影響を受けてエンジニアになってくれれば、親子でバカができると思っていたのに実に残念である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.08 00:10:12
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