|
カテゴリ:エッセイ
「上げ底」という言葉は、悪い意味で使われる。お父さんが経験した上げ底は、レストランの重箱というか天重などの容器が上げ底になっていて、見た目は5センチぐらいの深さなのに、実際は3センチもないというようなものが多い。コンビニの弁当や駅弁などにも上げ底を経験して、だまされたと思った経験はそれなりにある。
今は観光客相手の店でもあまり露骨に上げ底の容器を使うことは無くなった。SNSを中心に画像入りで情報が出回ってしまうので、店側も悪い評判を立てられないように注意しているのだろうと思う。消費者にとっては良い時代になったともいえる。
そう考えると昔はいろいろとだまされることも多かったし、だます方もいろいろ考えていたと思う。エビの天ぷらで見た目は太くて長いエビが入っているように見えるのに、甘えびのような小さなエビが入っているだけで、あとはほとんど衣という海老天は普通に存在した。みてくれの大きい海老天を作るのにはそれなりに技術が必要だったと思う。
ちなみに批判されることはないが、カップヌードルなどもある意味上げ底になっている。カップのフチまで麺が入っているように見えるが、容器の底からずっと麵が入っているわけでは無い。麺と容器の底の間には結構な空間がある。まあお湯を入れて麺がほぐれれば気づかれることはないし、中の麺を少ないと思う人もあまりいないと思うので、今まで問題にされなかったのだろう。技術的な問題かもしれない。 ちなみに上げ底の様に配置ができないカップ焼きそばなどは、お湯を入れる前の麺の密度が低い。つまり上げ底の麺に比べて、麺のかたまりに空間が多い構造になっている。
さて上げ底とは少し異なるが、お父さんが子供の頃に「シークレットシューズ」と呼ばれるものがあった。背が低いことをコンプレックスにしている男性専用で、かかとの部分が分厚くなっていて、5センチぐらい背を高く見せることができる靴である。外からは気づかれにくいが、靴の中ではハイヒールを履いたようにかかとが上がった状態で足を入れているモノだったと思う。実物を見たことがないので実際はよくわからない。 背の低い友人が真剣にシークレットシューズが欲しいと言っていたことを思い出す。女性はハイヒールやピンヒールなどでかかとを浮かせて身長を高く見せることができるのに、男は出来ないと嘆いていた。
時代が進んで平成になると、厚底ブーツとか厚底サンダルなど、女性には身長を調整できる更なる履物が出てきた。今では連絡を取ることもなくなった友人は、さぞつらい思いを今もしているのではないかと思う。 ただ50歳も過ぎると、背が低いとかブサイクとかいう身体的特徴があまり気にならなくなってくる。お父さんもいろいろと身体的なコンプレックスはあったが、今気にしているのは健康かどうかを考えての体重増ぐらいだろうか。糖尿病でなければデブであってもあまり気にしないだろう。
さて靴の話題に戻るが、最近ウォーキング用のシューズを買いに行って思ったのだが、シューズによっては靴底が2センチぐらいあるものが普通に存在している。機能を考えての厚底だと思うのだが、背の低い男性がなるべく靴底の厚い靴を購入して身長を調整できるレベルだと感じた。 運動にどれだけ適しているのかわからないが、男性も5センチぐらいの厚底の靴を履くのがおかしくない時代になるのかもしれない。
ちなみにベトナムでローカルの従業員がパーティーなど会社のイベントに来ると、身長が10センチぐらい伸びているようなときがある。上げ底プラスピンヒールという2段形式で身長を高くするものを履いてくるからだ。こういうモノを変にみられることなく吐くことができるので、ベトナム人女性はほとんど身長と言うモノを気にしていないように思う。男性用は無いので、男は日本人と同じように身長にコンプレックスを持っている人がいるのかもしれないが、お父さんはそういう話を聞いたことはない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.25 00:10:06
コメント(0) | コメントを書く |