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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
秋ナスは嫁に食わすなという言葉がある。秋ナスはとてもおいしいので嫁なんかに食べさせるのはもったいないという嫁いびりの言葉として知られているが、一説にはナスは体を冷やす効果があるので、嫁の体をいたわった言葉だという解釈もあるらしい。まあおそらく後者の説はこじつけだろうと思う。
さてお父さんはナスの料理が大好きである。焼きナス、揚げナスをショウガ醤油で食べると箸が止まらなくなる。それ以外にもナスの焼き浸し、ナスの煮びたしなども大好きである。少し高級な雰囲気で野菜を炊いた料理となって出てくるナスもたまらなくおいしい。 おいしいナス料理といえばナスの天ぷらも忘れてはならない。もちろんナスの糠漬けもおいしい。とにかく今のお父さんはナスが大好物である。
お父さんは東北の田舎町に住んでいるので、ナスの時期には産直などの売り場でナスをスーパーの半額以下で買える環境にいる。それでも毎年庭の小さな畑でナスを作っている。農業の技は持ち合わせていないので、我が家のナスは農家のナスに比べて皮が硬い。 そのためお母さんが料理して出してきたナス料理が我が家のナスか買ってきたものかすぐにわかる。農家の同僚に聞いたら、ハウス栽培のナスは皮が柔らかく、露地栽培では硬くなるとのことだった。それにしても我が家のナスの皮の硬さはちょっときつい。
先日次女にナスを食べるように言ったら、「ナスを食べようと考えた人は頭がおかしい」と言われてしまった。こんなにもおいしいのにと思いつつ、そういえばお父さんも子供のころはナスが嫌いで、こんなものを食べようとした人も、食べている大人も味覚がおかしいと思っていた。
ピーマンなどの青臭さのある野菜は子供に嫌われるのもしょうがないとも思うが、ナスはどちらかというと匂いは少ない。その代わり中身がふにゃふにゃだったり、ドロッとしていたりと子供には受けない触感であるし、味も不明瞭である。 お父さんが最初にナスをおいしいと思った料理は麻婆ナスなので、当時はナスの香りも味も感じていないのかもしれない。
いったいいつからナスをおいしいと思い始めたのかはっきりしないが、30歳を超えていたことは間違いない。ナスの天ぷらなどお父さんの大好きな天丼にのっていると、真っ先に食べて視界から消していた覚えがある。 ナスがおいしいと感じるようになるということは、味覚が変化したからだと思う。子供のころ好きでなかった、嫌いだった食材を食べだしたのは高校生ぐらいだったが、あの頃は腹が減っていてなんでも食べていただけで、味は二の次だった。
子供のころ嫌いだったものをおいしいと思うようになったのは30歳を過ぎたころだと思う。そのころ結婚が重なっているので、お母さんが作った料理をとにかくおいしいと言いながら笑顔で食べなくてはならなかったのも影響している気がするが、味覚も変わったのだろう。
ちなみにお母さんは子供のころから酢の物が大好きで、野菜も生でかじっていたし、ナスも普通においしいと思っていたというのでまるで参考にならない。子供が嫌いなものを苦手としていなかったお母さんに息子や次女の野菜嫌いや酢の物嫌いは理解できないようである。 お父さんは理解できるのだが、親として「全部食べなさい」と言わざるを得ないので、実に複雑な気分である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.21 00:10:13
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