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じゅびあの徒然日記

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2007年04月24日
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カテゴリ:いじめ
「死にそうになった経験」の続きを知りたい方もあるかもしれないが、とんでもないことになったのでちょっとそちらは後回し。
るーなちゃんも、青森直送のリンゴをしゃくしゃくと食べている。
一見、いつもと同じ時間が流れている。
でも....

じゅびあ先生、ボスに身体を迫られてしまったのだ。
違った、進退を迫られてしまったのだ。

昨日突然ボスに呼ばれた。
なるべく一人のときに出くわさないように気を遣ってはいたのだが。

以前に、とんでもないことを言われた、という話に触れているが、そのことを再び持ち出された。
「この前の話だが、身の振り方は考えたのか。早い話が、辞めていただきたいのだよ。」
「....」
「患者さんからの苦情がある。それだけでなく看護の職員からも君とはやっていけないという声がある。」
「患者さんとは、Iさんのことですか?」
Iさんというのは私がただ一度初診で診た患者さん。
3月にボスが私に無茶を言った時、名前を出さずただ「自分の患者の知り合いが苦情を言っていたと伝え聞いた」とわざと特定できないように嫌味を言った、あれだ。

あの時どんな話がされたかは詳しく書けなかったけれど、なんと自分と無関係な大学に週に半日、再教育のために外来診察をしに行け、その診察には上の教官がつくことになるだろう、ここで仕事を続けていくつもりなら、やれるだろうな、とにかく君には問題がある、というような、具体性の無い、ありえないような話だ。
大体、大学というところは、その辺の医者がぽっと出かけて「診察をさせてくださーい」とやらせてもらえるところではない。
当然そこの医局員や大学院生、研究生の身分が必要。
しかも●●大学が、自分と関連の無い、一民間病院のヘタレ医師を、再教育のためにうちへよこせ、というはずがないし、権力にはとことん弱いうちのボスがこちらから大学に依頼できたはずもない。
同日昼間患者さんの紹介でその大学からの電話を受けているが、その教授もいつもと同じで変わった様子は無い。
いや、どう考えてもありえない話で、仕方なく勤務後すぐに自分の出身医局へ飛び、教官から話をしてもらったのだ。
意図を確認してもらって呆れた。
全く、何の計画性も具体性も無い話だったのだ。

話は戻るが、Iさんは若い幻覚妄想状態の女性で、父親に連れられてやってきた。
本人は「自分は病気ではないし、絶対に薬はのまない」と言っていた。
これでは外来での加療は無理だ。
娘とはいえガタイは大の大人、親が毎食後口を開けさせて薬をのませられるはずがない。
父親には指定医診察の上、医療保護入院(父親の同意による入院)にすることを勧めたが、「本人が嫌がるものを入院させるのはどうしてもイヤだ。まして嫁入り前の娘に精神科入院歴を作るのはイヤだ」と言う。
そこで私はこう説明し、1週間後の自分の外来に予約を入れた。
「今回は、外来でお薬を出します。でもご本人がどうしてものまないと言っている以上、入院でないと治療は難しいと考えています。家で今度までにご家族がやるだけやってお薬がのめなかったら、医療保護入院でないと、当院での治療は責任を持ってお引き受けできません」
2日後の早朝その患者さんが救急車を呼んだようで、当直医に救急隊から連絡が入っている。
この時の訴えは身体じゅうが痛いというもの。
精神症状によるものであることは勿論容易に想像がついた。
だが当直医は「身体の訴えならまず身体の病院へかかってください」と受け入れを拒んだ。
まず身体を診てもらって問題なければ、うちの外来にかかり直してもらえば済むことだった。
しかし、この「かかり直し」を何故かボスが率先して自分で診、その後も自分の外来に予約を入れ、すっかり主治医として数回診察をしていた(ボスは普段部下に仕事を押し付ける傾向があるから、極めて不自然だった)。
私自身は、自分の予約に来なかったので「あーあ、来なくなってしまったなあ。やっぱり治療は続かなかったか。次に来るときは何かやらかして、措置入院かなー」なんて思っていた。

何回か外来で引っ張った末ボスがIさんを本人の同意で任意入院させたのだが、数時間で気が変わりIさんは帰ると言い出した。
ボスに連絡をしたがなかなか来ないやら、本人は病棟の扉が開くたびに駆け出そうとするやら、仕方ないので家族が押さえつけているやら、で大変だったと言う。
やっと現れたボスに報告すると「帰るってんなら帰ってもらえば?」と患者さんを診察もしないで、出かけてしまった。
結局他の医師が診察したが、最初は「とても家でやれないから入院を継続したい」と言っていた父親も診察室を出るなり「連れて帰ります」と気が変わってしまい、一度も病室にも入ることなく帰宅したと言う。
それきり治療は途切れている。
ボスが治療に失敗したのだ。

退院後に初めて知った私は慌てて外来カルテを探した。
「知り合いがここにかかっているので教えられてここへ来た。この前の医者が当院では診られないと言ったので、内科へ行った。他の精神科へも行ったが、そこの医者『も』話を聞いてくれなかった」などとボスの字で記載あり。
私は初診時にびっしり、カルテを3ページ余り記載しているから、これで話を聞かなかったと言われるのは心外だし、何よりも自分で診るつもりで処方も出し予約も入れている。
話の流れから考えても「ここの医者が当院では診られないと言った」というのは、当直医が「身体の症状は当院では診られません」と受診を断ったことだろうと思う。

ボスは「Iさん?ああ、そんな名前だったな」ととぼけた。
多分私が前回の話をどの患者さんのことをさして言っているのか突き止められると思っていなかったはずだ。
「あの方はお父さんの理解がなく、即日医療保護入院に出来なかった方です。」
「難しいケースだったのは分かるが、Iさんの場合、一番困っていらっしゃるのはお姉さんだった。君の対応はその気持ちに答えていない。とにかくそれが問題だ」

...じゃあ、あんたは答えたのか。ロクに治療もやらないで、「帰りたければ勝手に帰れば?」と追い出して、家族の説得もしなかった。結局治療になっていないじゃない。大体初診にそのお姉さんとやらは来ていない。一度も会ったことも話したこともないのに、気持ちを汲んでいないと言われても....。
そう喉まで出かかったのを必死に呑み込んだ。
ここでそれを口走ったら思う壺だ。

「すでに各論をどうこう言っている段階ではない。君が(病院を)代わるつもりがないのなら、私には病院を守る義務がある。」

...一度も具体的に各論なんて言ったことはないじゃんか。いつだって、ただ「とにかく君には問題が多い」だ。

「副院長や大学教官から聞いたが、君は当直をボイコットしたのか」

...あんたが教官に「アイツは当直をボイコットした、人件費もかかるし、そういう医者にはいて頂かなくてもよいと思った」と言ったのだ。教官は「彼女に問題はなさそうだから、よろしく頼む」と言ったはず。

「ボイコットではありません。日直手当に差があることを知り、不平等だ、平等にしていただきたいと言っただけです。副院長にも説明しました。ですが3ヶ月経過しても、未だに何の説明もご回答も頂いておりませんので。」
「まあ、そのことはいい。どうしても辞めないと言うのなら、君の業務を縮小してやるからな。」

...ヒマになるなら、いいけどさ、をぐっとこらえて。
「私としては、改めるべきところは改め、今後も自分の業務に邁進していく所存です」
とにかくここはのらりくらりとかわすのが得策だ。

「君のやっている業務など、他の誰がやっても同じだ」
ボスは言い捨てて、外来へ去っていった。

これって、いわゆるパワーハラスメント、って奴だよね?

ボスが「病院を守る」と言っている本心は分かっている。
経営的に、苦しいから、医者の口減らしをしたいのだ。
じゃあ、誰を減らすか、と言うことになった時、独り身で子どもと病気の老親を抱え、規定どおりの勤務を続けられるかどうか信用出来ない私を選んだのだ。
これは、「長くいる職員を信用できなくなる病」のボス自身が、次々に有名企業から事務方の人間を高給で引き抜いたり、自分の出身大学の医師だからと追加で採用したり、臨床経験の少ない基礎出身の医師をさらに採用したりしたためだ。
本当は、2回とも、私との入れ替えを図った医師人事だったが、思惑に反して、私が粘った。
いや、正直2回目は驚いた。
私が辞める保証がないのに、まだ医師を採用するのか。
どう考えても、赤字になるな、ということはディスクロージャが全くなくても判る。

改めて看護の職員に調査を入れる。
ごく一部、いや、一人だけ私とはやれないと言いそうな看護職員に心当たりは、ある。
ボスの腹心の部下だ。いや、正確には腹心というより、取り入ってばかりいる。
他の職員は病棟も外来も揃って、言う。
「先生でこの病棟はもっているんです。先生が辞められたら、病棟は滅茶苦茶になってしまいます。」
「先生の患者さんたちが一番落ち着いているんです。先生の患者さんが多いから、この病棟は助かっているんですよ。」
「機能評価の時だって、サーベイヤーにまともに見せられるカルテは先生のくらいしか無いんですよ。それで先生が辛い思いをするなんて、美味しいところばかり奪って病院はずるい。」
「何かお願いをした時に、嫌な顔をせずすぐ来てくださる、対応してくださるのは先生だけです。まさか本気で進退なんて考えてないですよね?頼める先生がいなくなってしまいます。」
「先生がいる限り、私も辞めません。先生がよそへ動くのなら、私もついて行きます。」
「いつだって言ってるんですよ。先生が主治医に当たった患者さんは幸せだって。だって必ずよくなって、帰るもの。他見てくださいよ。急性期と言いながら、1年もいる患者さんが、いるんだから。入れるだけ入れて、ほったらかしですよ。ほら、今もああやって訴えてくるけれど、何にも話なんか聞いてやりゃあしない。」
「先生とは仕事をしたくないと言う職員がいる?ボスと仕事をしたくないという職員なら、沢山知ってますけどね。先生がそんなことを言われたんですか?どうしたらいいんでしょう。」
「頼んでも動いてくれない先生や、使えない先生はいますよ。でも、そういう先生を優遇する。先生と入れ替えようとしたんですか?人を見る目がありませんね。」
誰もボスが怖くて本音は言わない。
患者さんがボスへの苦情を言っても、看護記録に書かれることもないし、上申されることもない。
投書箱の中身すら、抹殺される。
だがこれが、現場の声だ。
少しでも上に届くものなら。

職員自身がうつ病になった時、職員の身内が認知症で徘徊してしまった時、職員の友人が神経症にかかった時、「いつお願いしたらいいですか?」とこっそり診察を依頼されるのは、ボスでなくて、私なのだ。
「役付きの誰かに頼まないの?」と訊くとみな「いやちょっと...先生にお願いしたいです」と答える。
それを威張るつもりは無い。
それを手柄にして見せびらかしたこともない。
だが、みんなの本音は、そうなのだ。

研修医の面倒を私がみるのもボスは気に入らないらしく、どうにか拘束時間を多くして、接触を減らそうとしているようだが、勝手に研修医クンたちはこっちになついてしまう。
研修医クンたちの時間がかかる診察にも、きっちり付き合い、質問をどんどんして考えさせ、処方内容については根拠をきちんと説明するから。
「頼りにしてるよ♪」と言ってちゃんと医師としての仕事をさせるから。
彼らが上手く事態を処理したときには「ありがとう。助かったわ。」と伝えているから。
彼らも困ると「センセーイ、今、いいですかぁ?」とまず私にコールしてくる。

勤務も穴を空けていない。学校の用事で抜けた分の借りは、振り替え出勤して埋めている。
当直も、自分に与えられた分はこれまで一度も穴を空けずにやってきた。
母が入院した時ですら、だった。
何が文句あるんだ、と本当に言いたいけれど、ボスはこの「何が文句あるんだ」と堂々としていること自体が気に入らないのだな。





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最終更新日  2007年04月24日 23時00分31秒
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