じゅびあの徒然日記

今日の午後、外来予約がキャンセルになったのをいいことに、こそっと労働基準監督署に相談に行ってきた。
だいたい、こういう役所って、平日の9時から17時の間に行くしかないわけで、勤務を抜けなきゃ、不可能だ。
他の先生に、私あての電話番を頼む。
家族面談の希望が急に入ったので「少し遅い時間になるので、お待ちいただけますか」と伝言する。
それから、事務長が職員食堂にいるのを確認して、事務に電話をかけ、長い付き合いのねーさんに「詳しいことは今言えないが、労働基準監督署に行ってくるから、私宛の電話は掛け直す、緊急なら★★先生に繋いで。院内に戻ったら、すぐ連絡するから」と伝えた。

個別労働紛争の相談のおじさんは、とても「みの○んた」に似ていたので、以後勝手にみのさんと呼ばせて頂く。
いや、日焼けしてツヤツヤした顔、額の皺までそっくり。
医師の給与明細を見るのは、初めてだという。
「そりゃ、じゅびあさん、納得いくわけないよねぇ」喋りも似ている。
今後、事務長が何か言ってきても、口頭で言ったことなど何もならない、レコーダーを証拠にしようとすると隠し録りになるから、とにかくあらゆる交渉を書面でよこさせるよう、アドバイスしてくれた。
そして、こちらからもそれに対して、納得できないこと、納得できることを書面で返し、全ての交渉を、証拠として残すように、回答を要求するときは必ず期限を1週間以内と切ること、その上で個別労働紛争解決制度を利用し、さらにダメなら、民事訴訟、という手順を教えてくれた。
いきなり法律相談に行くと、労基署には行ってないのか、制度を利用していないのか、と結局差し戻されてしまうので、最初に訪れたのは正解だとみのさんが言う。
従業員100名以上の病院で、雇用時に労働条件明示書を作成していないこと、医師にははっきりと有給休暇が認められていない、時間外手当もつかない、業務手当以外の住居手当、家族手当もつかない(明細に欄だけは、ある)ということを告げると、驚いていた。
「有休はちゃんとくれてるだろうね?えっ、1回も取った事ない?じゅびあ先生、今何年目?この就業規則なら、2年分持ち越せるわけだから、今26日とか、貯まっているはずなんだよ。有休は医師にはないって、それは明らかに法律違反だよ。」
「話聞いていると、あなたの仕事ができるから、目の上のコブになってきたって感じだよね。それを払うのが、その事務長の役割か。」とはっきり言っちゃう、みのさん。
書面を揃えて、雇用側と決裂したら、またおいで、今日の相談はまとめておくよ、と心強いみのさんのお言葉。
先生に言うことことじゃないけど、くれぐれも無理してうつ病にならないでよ、と白い歯を見せてくれた。

病院に急いで帰り、事務のねーさんに「帰ったよ。悪いけどもひとつお願い。私の入職時に書いた、履歴書あるでしょ?あれ、こっそりコピーして、医局に持ってこられる?」と頼む。
ねーさんはもちろん二つ返事で引き受けてくれる。
履歴書と、ちょっとでも年月日とか食い違って、そこを突かれると困る。
家族面談で、患者さんの退院を決定し、医局に戻るとねーさんがコピーをリサイクルの封筒にこっそり入れて持ってきてくれた。
それを元に急いで事務長に何回もせっつかれた「非常勤勤務時の、勤務の実態」を作成する。
それを手に、事務室で事務長の帰りを、待つ。
待っている間に、ねーさんと内緒話。
「先生たちって、非常勤いくつもやって繋いでたり、普通ですもんね。」
ねーさんは私が昇給を止められていることは知っていたが、詳しい事情を聞いて「そりゃあ、労基署ですね。今辞めたら、思う壺ですよ、先生。先生がきちんとやってこられたことは、知っている人はみな、知っていますよ。現場で聞いたら、分かります。あ、院長は聞かないですよね」と言ってくれた。

帰って来た事務長に「あなたの要求した報告です」と突きつけ、密室であー言ったこー言ったでなく、雇用契約を変更しようとするのなら、全て書面で通達するよう、伝える。
それに対して、私のほうで納得できる点、出来ない点を書面で回答させていただく、5月の締め日が迫っているので、昇給停止を行なっている理由も含めて、週明けまでに提示せよ、主張した。
事務長は「雇用契約の変更、いやそこまでは」「私としては、ただ今後の方向性をですね」「昇給停止したわけではない、ただ、5月に最終的に精算させていただくと言っただけ」などとたじろいでいる。
オマエ、今後の方向性云々って、実際こっちは勝手に満額振り込まれていないのだぞ。
「ご回答をいただけない場合、こちらの回答に対し病院側で検討して頂けない場合、次の手段も、考えております」と多少今日は強気に出てみる。
最終的にとにかく「(書面で提示することを)分かりました」という返事を取り付けて事務室を出る。
期限までに書面で提示されなければ、内容証明を送ってやるぞ。

労基署の調査が入れば、様々な法令違反が明らかになる。
苦情が私にある、というのなら、その苦情や苦情処理委員会の議事録、タイムカードの勤務記録、片っ端から調べてもらったら、いい。
労働条件明示書を作るのなら、ついでに有給休暇も勝ち取っちゃうもんね。