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じゅびあの徒然日記

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2007年05月15日
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カテゴリ:いじめ
事務長に、「雇用契約変更の交渉なら書面で提示するよう」要求し、期限の月曜日がやって来た。
月曜日の夕方、院長や事務長も参加すべき大きな会議があったが、「院長と事務長は急遽外のお客さんと会う用事ができた」とボイコット。
大体このごろ出たくない会議を片っ端からボイコットしている院長だから、その日も出ないだろうとは、思った。
とうとう会議が終了し私が退勤するまでに、文書提示は頂けなかった。

「院長と事務長が外のお客さんと会う用事」と聞いて、私はすぐにピンと来た。
奴らは間違いなく、病院顧問の弁護士あるいは社会保険労務士と今後の相談をしに行ったのだ。
どうすれば、じゅびあ医師の給与を削減できるか、もしくは、退職の追い込むことが出来るか、の相談だ。

そして予想通り今朝、出勤すると事務長が私にメモをよこした。
「5月○日×時より事務長室にて面談」という内容。
院長も同席すると言う。
...やる気だな。
「文書にての回答は頂けないのでしょうか」
「とにかくその点も含めて院長とお話させていただきます」
「言った言わないは困ると申し上げましたよ」
「そういうことはないと思います」
...事務長の不気味な笑み。
院長室でも事務室でもなく、人里離れた(?)事務長室という密室に呼び入れて、何を言うつもりだ。

良識ある弁護士や社労士なら、一方的な昇給停止は通用しないこと、労働者側と話し合って納得させるしかないというアドバイスをしただろう。
また、そんな一方的な雇用条件の切り下げを書面で出して、証拠として残すと、病院側に分が無いということも。
労働基準監督署に駆け込まれ、正規の手続きをされたら、調査が入るということも。
だから、書面を絶対出さず、密室で脅したり締め上げたりして了承を取るつもりなのだ。

患者さんの診療をしていても、ふと「どうして私はこんなことをしているのだ」と思ってしまう。
他人の相談に乗っている場合ではない、自分が相談に乗ってもらいたいくらいだ。
密室でちらつかせるのは、給与削減か、退職勧奨か、命令を聞かないとして懲戒処分か。
臨床医として病院や院長の方針に従うことと、一人の労働者としての立場は、別の話だ。
だがあと1年、どうしても踏ん張らなければならない理由が私にはある。

...あかん。
こんなことを自分でやろうとしていては、診療に集中して取り組めない。
とにかく自分にかかるストレスが、限界だ。
事務長に指定された期日までは、とりあえず事態は動かないだろうが、事務長室に単身、丸腰でのこのこと出向けるはずがない。
金額的に合わない事は分かっているが、代理人を立てるしかないか。
代理人を立てる、ということはあと2年は無いということ。
あと1年で確実に辞める覚悟を固めないといけない。
離婚の時に世話になった先生に電話し、労使関係に強い近くの先生を紹介してもらい、アポを取った。

一人の病棟主任に「事務長室に期日指定で呼び出されましたよ」と話すと涙ぐんで「まあ、そんな恐ろしいこと」と言われた。
「もう、無理でしょうね。私が辞めたら、患者さんが一番可哀想だから、の思いで踏みとどまってきましたが。言ってくることは、解雇でしょうか。」
「まさか、理由なく解雇は出来ないでしょう。」
「とてもヤバくて、自分ひとりで事務長室なんて行けないです。今年一杯は、何としてもいますけどね。」
「先生、新しく病院を作って、一緒にやりましょうよ!」
「さすがにそんなお金は無いです。私、ここの院長みたいに跡取りとかじゃないですもん。」
「先生が解雇だなんて、もっと先に解雇にして欲しい医者がたくさんいますよ。」
「ちゃんと患者さんを診てきて、こういう報復を受けるんですからね。今も急性期病棟の患者さんが減ってきて困ってるんですよ。余計、辞めてもらってかまわないって方向になるでしょ。でもね、よくなっちゃうと、みんなどんどん退院しちゃうのよ。」
「先生、それが患者さんにとって、理想なんですよ。」
「でも、病院側から見れば、収益の上がらない医者ってことになるんでしょうね。」

決して収益を全く考えずにやってきたわけではない。
療養病棟で無駄な検査や無駄な投薬をしないこと、も気をつけてやってきたつもりだ。
病名もマメにつけているし、ほとんどレセのチェックも不要なくらいだ。

現場で指示を出すときも必ず指示簿に記載し、さらにニュアンスが違わないよう、リーダーに口頭で伝えて受けてもらっている。
電話を受けて当座で指示を出した場合も、後で指示簿に記載して内容を確認してもらっている。
処方変更、臨時処方を出した時は、看護師のカーデックス用のラベルとカルテラベルを同時に出し、カルテラベルを自分で貼って、看護師にもう1枚を渡しながら、変更や追加を伝えている。
看護用のラベルまでいちいち出しているのは、うちの病院では私だけだ。
他の医師の場合はカルテを見て、処方変更を探し、看護師が後からラベルを出して拾っているのだから。

私はそういうことを、無理にやってきたのではない。
相手の身になって考えれば、自然にやれてきたことだった。
だが、そんなことをする必要は全く無いと考える医者が、沢山いるということに驚いた。

気が重い交渉には代理人を立て、後は撤収モードでいい。
入院患者さんには申し訳ないが、外来患者さんはできるだけ連れて行く。
いや、入院患者さんもできるだけよくして、外来に持ち込めるだけ持ち込む。
その一方で、自分のケースレポート作成に時間を割けばよい。
患者さんのためと自分のためになることを、すればよい。
もう病院のためになることは、しなくていい。

午後からは、比較的吹っ切れて家族からの相談を受けられた。
よかった。





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最終更新日  2007年05月15日 19時08分52秒
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