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じゅびあの徒然日記

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2008年05月06日
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カテゴリ:育児
子どもが交通安全教室のために自転車をひいて登校する。
家が近い子どもはできるだけ持ってくるようにと先生に言われたのだ。

私は、小さい頃自転車に乗れなくて苦労した経験がある。
兄が自転車で事故に遭ったこともあり、親は私に自転車を買い与えなかった。
「自転車は危ないものだから」と言い聞かされていた私は、友達から借りて乗ってみたいと思ったこともなかった。
そもそも触ったことも乗ったこともないのだから、乗れるようになるわけがない。

学校では当時も交通安全教室が年1回行われていた。
小学校低学年のうちは、横断歩道の渡り方など徒歩での訓練だが、小学校3年生からは自転車の練習だった。
自分がそうだったから、自転車なんて全員乗らされるわけがないと思っていた。

初めての交通安全教室では、自転車に乗れない子もいて、乗れる子だけが自転車の安全を学べばよかった。
ところが2年目、4年生になるとクラスで自転車に乗れないのは私だけになっていた。
「じゅびあちゃんは自転車も乗れないんだって」
「お母さんに甘やかされているからだ」
自転車に乗れないことは、恰好のイジメの対象になった。
この頃になって親はやっと自転車を買ってくれたが、まだ身長が伸びるから、と大きめの自転車を当然買うので、跨ってもつま先がつかず怖くて乗れるようにならない。
仕方がないので補助輪をつけてもらったが、大きな自転車に補助輪なんて恥ずかしくて乗ることができない。

小学5年の交通安全教室は、どうしようもなくて仮病で休み、家から一歩も出なかった。
6年生に上がる前の春休み、自宅の狭い庭で必死に自転車の練習をした。
補助輪を無理にも外し、何度も転びながら傾斜のついた芝生を下った。
怖くてペダルに足を乗せることができず、跨って転がすことだけを繰り返した。
自転車というのは小さいうちに練習しないと、転ぶ前から転ぶ痛さばかりを想像して、ダメなのである。
結局6年生の交通安全教室には間に合わず、私はまた当日仮病で休んだ。
クラスでは「じゅびあちゃんは自転車に乗れないから休んだ」と噂になっていた。
...実際その通りなのだが、「自転車ぐらい乗れるよ!」と虚勢を張っていた。

6年生の秋、私は何とかペダルを漕ぐことができるようになったが、親は公道で自転車に乗ることを決して許さなかった。
その頃、家の向かいには「一番のいじめっ子」が住んでいた。
母が留守の時(車がないので)、向かいのいじめっ子が我が家のチャイムを鳴らした。
「ねえ、じゅびあちゃん、遊ぼうよ。これ乗っていいからさ。お母さんいないしちょっとくらいいいじゃない」
彼女は私に自分の自転車をよこし、自分はお兄さんの大きな自転車に跨った。
彼女は私が自転車に乗れないことを確認しに来たのだ、とはっきり分かった。
母にバレたら絶対に怒られるが、ここで乗って見せなければ、クラスで何を言われるか分からないと思った。
「分かった、乗ろう」
あっさり返事をすると、彼女は私が渋ることを予想していたらしく、明らかに拍子抜けな顔をしていた。
家の前の通りを、彼女と自転車で一往復し、「それじゃ」と全く「遊ぶ」ことなく別れたが、引きとめられることもなかった。

それっきり、「じゅびあちゃんは自転車も乗れない」とクラスで言われることはなくなった。
だがその時公道で自転車に乗ったことは、親にずっと秘密にしていた。

次に自転車の問題が持ち上がったのは随分後で、何と高校2年生の時だった。
修学旅行先の京都を、レンタサイクルで回ることになったのである。
これには親が慌てた。
「あんた、道で自転車に乗ったことなんてないじゃないの。やっとどうにか進めるっていうだけで、自由自在に乗れなければ、道で走れるわけがない」
「乗れるんだけどな...」と思ったが、親は納得しない。
あんたなんかが道を走ればすぐに車にはねられるか側溝に落ちる、と大騒ぎだ。
結局、伊豆のサイクルスポーツセンターというところで行われていた、「女性のための自転車教室」を見つけてきて、親が申し込んだ。
全く自転車に乗れない、乗ったことのない大人を対象に、1泊2日で乗れるようにしてしまうという、(乗れない人にとっては)かなりハードなプログラムである。
最初は自転車をひいて歩いて取扱いに慣れるところから始め、次は跨ってもペダルを使わず、両足で地面を蹴るだけで進む練習だ。
私は、開始して1分くらいで、両足を離して乗れてしまった。
史上2番目の記録だそうだが、本当はもともと乗れたので...。
全く乗れない人ばかりなので、夜みんなで風呂に入ると、私以外の人はほとんど足首のあたりを紫色に腫らしていた。
転ぶよりも、ペダルをぶつけて青あざを作るのである。
私は確か2日間の間で1回しか転ばなかったと思う。

レンタサイクルを問題なく乗り越え、大学は下宿から自転車で通った。
もう、親は何も言わなかった。
自転車教室の最大の成果は、親が納得したことだった。

自分が苦労しただけに子どもには早くから自転車をと思い、保育園を卒園した春休みに、一気に乗れるようにしてしまった。
その時にはバレーボール用の膝サポーターをつけさせ、サイクルスポーツセンターの教え方を真似した。
とても役に立ち、子どもは数回ずつしか転んでいないはず。

そういえば、別れた夫も自転車に乗れず、私が乗れるようにしてやったのだった...(笑)。





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最終更新日  2008年05月06日 15時49分10秒
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