仕組みを作るのは大変
会社で働く人達にとって敏感な問題の一つは「お金」でしょう。所謂「給与」なんですが、それがはっきりしないとやはり働く人達にとっては不安なものだと思います。私もそうです。多い時はいいのですが、少ないと1円でも腹が立つと思います。その仕組みを作れと言われたのですから、その当時の私はとても不安になりました。まず、私は給与システムの仕組みを作る前に1つの決め事を自分の中で決めました。それは「誰でも解る様な仕組み」です。誰でも解る仕組みをまず作ってしまえば、問題があった場合でも説明できるからです。その前にまず現状確認です。そこで去年1年の会社の給与明細を出してもらい、小会議室を借りてそこで1人で1人1人の役職・勤続年数・基本給・手当などを確認して行きました。当時従業員は日本人を除くと1,200人ほどいましたので、なかなか大変な作業でした。人数が居ればいいのですが、おいそれと他の人には任せられません。話が漏れたら大変です。そのようなこともあり、1人でやることになったのです。このようなことは初めてだし、やり方も解らないので取り敢えず全従業員の給与明細を確認した後、一般工員・管理職の2つに分類し、一般工員の最高金額と最低金額、そして管理職では当時は上から主任・班長・組長とありました。そこでその階層ごとに最高金額と最低金額を分けていきました。そしてそれぞれの階層の平均基本給を出しました。解ったことは、基本給や手当ともに統一されてなくバラバラだったことです。特に最初からのメンバーはその時の日本人駐在者が、適当に決めていたようで、それが、まだ続いているということです。勤続年数は同じで、給与も同じなのに給与の内容を見てみると、基本給が100元も違っており、その基本給の差額を訳の解らない名目の手当で補っているのです。結果的には金額が同じでいいじゃないかとは思うのですが、人は次から次に入ってくるのです。今のままのやり方を続けていれば、会社の収益が落ちた場合に大幅減給などで混乱に陥る可能性があります。ですから、仕組みの整理は急務のことだということがこの時解りました。工員がそうですから、管理職はもっと複雑でした。中には主任より、基本給が高い組長もいました。実力主義ならそれでもいいのですが、当時のウチはそういうことはやっておりませんでした。私は書き出したメモを見ながら、どうしようかなあ・・・。と考え込んでしまいました。 つづく