進学塾フィ→ルド☆アトラクションズ

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【中学受験指導体験記「Ｍ君の場合」】

Ｍ君は、学校では優等生でした。
小6の2学期だというのに、クラスのいろいろな仕事を頼まれてしまう。
「学校の先生が中学受験に批判的だから、わざとやらせているんじゃないかしら?」
「う～ん、そんなことはないと思いますよ、お母さん…」
お母さんとそんなやり取りもありました。
もちろん学級委員。

「受験で大事な時なんだから断ればいいのに…」
「うん。今度は断るね、先生。」
と言いながら、結局学校で言われた仕事を入試の直前までやっていました。

私から見てもやんちゃなところもありましたが、なかなかしっかりした子で、大人の扱いも上手。
穿った言い方をすれば「良い子」「可愛い子」と思われる話し方、返事の仕方、笑い方、甘え方、そんなことをよく知っている子でもありました。

志望校は明大明治。
お父さんが明大で、家族で明大ファンだったようで、志望校はほとんどそれで決まりでした。
ただ、Ｍ君の親友のＡ君が開成志望だったんです。
Ａ君は小4の時から「開成！開成！」で、志望校の話をすると、ちょっと寂しそうにしていました。

「僕、麻布にしようかな…」
「麻布か、良いね。でも明治大学はとてもいい学校だよ。
就職率も良くて、社会的な信用が高い大学。そこに行ける明大明治はすごく良い！」そんなふうにＭ君に話をしたこともありました。

私にもすごくなついていて、小5あたりまでは算数の質問も私の所に来てました。
（おかげで私も今では算数も教えられるようになりましたが…。）
「う～！わかんない。答え見ても分かんない！やっぱり算数の先生に聞いてよ。」
「嫌だ」
「ええ～～～なんで？」
「最後まであきらめないっていつも先生言うでしょ。がんばれ！」
「ちょっとそれ違うと思うんだけどなあ…」

で、結局なんとか教えきった時は、2人で大喜びしました。
「やった！おめでとう！先生！」
「いや、それもちょっと違うんだけどなあ…でも次からは専門の先生に聞きに行った方がいいよ。」
「うん。」
当然賢い子でしたから、私には手に負えそうもない問題はしっかり算数の先生の所へ行って質問をしていました。

そんな「良い子」のＭ君の、影の部分を学校の先生は勿論、私たちも気がついてあげられなかった。もう少し、あとほんの少し早く気がついてあげられたなら……

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