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2023年01月12日
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カテゴリ:陽明学
 
 一一二の奥に入る 心友問う。費の字を解して、「たからとせざる也」との給うは、何ぞや。

 云う。上古は貝を以てたから(寳)とす。
費の字、弗〔ふつ〕・貝〔かい〕の二字を合す。如・心を怨〔えん〕とするの類〔るい〕也。
財〔ざい〕散ずる時は民あつまるといえり。散ずるはたからとせざるの義〔ぎ〕也。
用の広きといえると意相近し。
財の字も貝にしたがう。いにしえ貝をたからとせし故〔ゆえ〕也。
いにしえのたからの貝は、いづれの貝ということをしらず。
後世金銀銭を以てこれにかえたり。
堯〔ぎょう〕の時、天下洪水にて五穀足らざるゆえに、銭を作りて交易の助けとなし給えり。
広く天下に用うるのみ、いまだ君の蔵〔くら〕にたからとし納めたることなし。
賢君のたくわえ(貯え)は民〔たみ〕のためのたくわえ也。
故に、王城にあつめずして在々所々に五穀をつみ置きて、
水旱〔すいかん〕饑饉〔ききん〕の備えとし給う。
民みな己〔おのれ〕が用と思いて君の物とせず。君の私〔わたくし〕のたくわえなければ也。
これたからとせずして用の広き也。
道は天下の道にして君子の私〔わたくし〕すべき理〔ことわり〕にあらず。
然〔さ〕れども、其の大本〔おおもと〕は未発にして声もなく臭いもなし。
聖人といえ共〔ども〕あらわすことあたわず(能わず)。
これを無といわんとすれば神明不測也。
これを有といわんとすれば形色声臭なし。
無欲になるがゆえによるところなし。好悪〔こうお〕なきが故に過不及なし。
しばらく名をかりて中といえり。
昔も今も末世も、終〔つい〕にあらわれざる物〔もの〕也。
故に造化の根〔ね〕たり。
寂空〔じゃくくう〕虚無〔きょむ〕もこれが名とすれば病〔やまい〕あり。
ただ隠といいて、無にながれず有をのこさず、かくるると云うにつきて其の神を知る。
聖人の言〔げん〕、妙なり。





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Last updated  2023年01月13日 19時48分51秒



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