誰が電気自動車を殺したのか
最近ではハイブリッドや、コーンアルコール、バイオディーゼルの車が『環境にやさしい』イメージで注目を浴びているけれど、実はどれもこれも大きなネックがある。ハイブリッドはやはりガソリンがいるし、植物性燃料なら環境に優しいと思ったら大間違い。それらは熱帯雨林伐採に大きな拍車をかけているという、まったくとんでもない話なのだ。ロサンジェルスの排気ガスによる大気汚染が社会問題化し、1990年に、カリフォルニア州政府が州内で自動車を販売しているメーカーに対して、3年期限で年間販売台数の10%を排気ガスゼロの無公害車にするよう義務付ける州法律を制定。 そして各自動車メーカーが、こぞって開発に挑んだのが、エレクトリック・カーだった。でも電気だと、高く付くのではのではないか、と思いがち。ところが慶應義塾大学電気自動車研究室によると、同研究室が開発したEliicaでは深夜電力で充電した場合、走行1kmあたりのコストはなんと1円程なんだそうだ。電気だから、走行時の排気ガスはなし。しかもオイルチェンジは不要、その構造上、ブレーキが減る事もない。今の車ほど、さまざまなパーツや、それらの交換の必要がなくなる。走行時も、信じられないほど静かなので、騒音公害の軽減も間違いない。消費者にも、環境にも、いい事だらけな夢のような車だ。米GM社は、96年にリース性でEV1を発売。販売台数に制限があり、完売価格も33,995ドルから43,995ドルと、なかなか高価だったものの、その人気に火がついて1600台を販売、その後もなが~いウェイティングリストができたのだ。ところがこれは、ある人々にとっては、非常~に都合が悪いのだ。政権がジョージ・ブッシュになったとたん、前述の州法律は廃止。市場に出回っていたEV1などのエレクトリックカーは、すべて強制撤収。その後まもなくスクラップになってしまった…。ドキュメンタリー『Who Killed Electric Car』日本でも、DVD入手可能。おすすめです。