シチリアの昼下がりと女と犬と。。。
三日目は、いよいよビデオ撮影の日!と意気込んでいました。朝から、ばっちり朝食を食べ、昨日であったご夫婦と軽く会話をし、いざ、ビデオ撮影!最新のビデオカメラを日本を発つ前日に購入し、かなりの投資をしたし、いい映像をとらなくては!と意気込む私。オーナーと一緒に早速ワインセラーへいざ出陣!ここでは、近所の人などに直接販売もしているため、その部屋から始めることに。彼の説明と一緒に撮影し、さらに中へ。表から見ると、”古い”ワインセラーと”新しい”ワインセラーは別の建物ですが、地下でつながっています。一通りワインの製造方法と機械の説明を終え、再び地上へ戻ると、誰かが来ました。イタリア語で何か言ってる・・・。オーナー何も言わずに私を置いてどこかへ”また”行ってしまいます。忙しいからしょうがないけれど、私もせっかく日本から来たのに、もっとコミュニケーションをとって欲しい・・・。数分してまた戻ってきたかと思ったら、忙しいのでまた後で。との事。”また後で”はいいけど、”後”っていつ?答えは無いまままた居なくなってしまいました・・・。待つこと3時間。ただただ待ち続け、私はいったいどうしたらいいのか・・・。誰に聞いてもオーナーはどこに居るのか分からず、私のイギリスの携帯電話は、クレジットが入ってないから使えず、誰にも連絡が取れません。車も無いから身動きも取れません。言葉も詳しくは分からないし、むしろ、探しても誰もどこにも居ないんです。インターネットつないでいいよと言われた部屋に行くと、今日は扉は開いたものの、パスワードが分からず、使えない・・・。せめて、移動が出来れば、町の様子を撮影したり出来るのに・・・。急に昨日のスペイン人の皆との楽しかった時間を思い出します・・・。もう帰ってしまった、英語を喋る人たちを思い出します・・・。このまま誰も戻ってこなかったらどうしようと不安になります。実は昨日までの事はうそで、ここが無人島だったら?なんだか、急になぜ私がここに居るのか?という疑問がそして、不満がわいてきます。同時に涙が出てきそうになりました。だめだめ、これから私は、起業をするためにここに来ていて、これから先こんなんじゃすまないほどの苦しいこともいっぱいある。こんなちっちゃな事で泣くなんてだめだめ。と思い、必死にこらえました。ふと、敷地の端っこのほうに犬を発見!そういえば、昨日から、いろんな人に吠えてるけど、私には吠えないな、なんて思いながらも、気にも留めてなかった犬。さっそく、近づいてみる。なんか小汚いなあ、この犬~。でも、喜んでシッポ振ってます。私に泥だらけのチーズを持ってきてくれました。なんだか急にこの小汚い犬が愛おしくなってきました。同じ境遇に感じたのかな?私はアレルギー持ちなのでやたらと動物触れませんが、彼の前にある石の上に腰をかけ、人生について語り合いました。奴はなんだか”全てお見通し”って感じで、私の話を聞いてます。奴と話すこと数時間お日様も低くなってきて、日差しも穏やかに。そして、時間がもったいないと、私は決心しました。この山を自分の足で下りていって、町に行こうと。昨日皆と車でいったので、方角は分かるし、地図も無いけど。何よりも、時間がもったいない。奴(犬)にお別れをして、そして、また遊びに来ることも約束して、部屋に戻り、身支度をして、出かけることに。なんだかこのまま終わるのは悔しいじゃん。と思い、歩き出しました。ここは、小高い丘と言うか、小さな山の上にあります。どたばたと来た私は地図もなければ、ここがどこなのかはっきり知りません。やあ、全部お膳立てされた旅行って怖いなあ、と改めて思います。晴れ晴れと開放された気分で、鼻歌を歌いながら歩き出すこと10分くらいかな?後ろから車が数台通りました。なんだか、見覚えのある車が・・・。んんん、あれは、もしや、ママ???彼女はどこかから私を見ていて、捕まえに、いや、迎えに来たのです。なんだか、悔しいやら悲しいやらで、私は言葉が出てきません。彼女は私に「なんだか悲しい顔をしてるわね~」と、その一言で私は色々なものがこみ上げて来て、この感情をどう表現したらいいかわからず。無言。。。彼女は分かっていました、だから、なにも言わないし、聞かない。さすが、人生の先輩で、社長の奥さんは違いますよね。。。参りました。今こうして思い出しながら書いてる今も、思い出して、ちょっと悔しい感じです。。。こうして私は彼女に連れ戻され、この後、車で観光へ連れて行ってもらうのでした。つづく