思えば遠くへ来た私

夕方、息子を迎えに行った時の事。

4時半のベルが鳴って少し立って出て来た息子が

私の所に来ると同時に

「計算問題を全部終わらせなかったんだけど、

　完全に病気なんだ！！」

と言った。

・・・はい？

訊き返すと全く同じセリフを繰り返す息子。

・・・なに？

意味が分からず眉をしかめていると

そこに息子の担任のP先生がやって来た。

そして

「お宅の息子さんはこの3日間

　喋ってばかりで全く勉強をしようとせず

　注意しても改善されなかったので

　今日は他のクラスに行くと言う罰を与えたんですが

　そしたら『胸が痛い！！僕は病気なんだ』とか言って

　お芝居をしたんですよ」

と言った。

・・・母、絶句。

「いえ、息子は病気なんかじゃないですよ」

とかろうじて答えると

「それはわかってます。

　私も子供と言う物をわかってますから」

と息子を見て笑う。

「今日やるはずだった計算問題も

　時間内に出来なかったので

　宿題として持たせましたから」

それはどうも、ありがとうございます（汗）

そして先生と別れて歩き出すと

早速泣き出す息子。

私を見るなり言ったあのセリフは

先生に言われる前に

自分でなんとかしようとした物だったのね・・・。

泣き続ける息子に

「学校は勉強をしに行く所なんだから

　授業中はちゃんと勉強しないとダメだよ」

とか

「先生の言う事はちゃんと聞かないとダメでしょ」

とかを

静かに言って聞かせた。

膨れっ面で聞いている息子に

ちゃんと返事をしなさいと言うと

「・・・パパには言わないで」

と泣きついて来た。

「パパに言って欲しく無いんなら

　まず泣き止まないと。

　そんな顔をしてたら

　家に着くなりパパにどうしたんだって聞かれるよ」

「・・・うん」

どうにか泣き止んだ息子に

また、学校ではちゃんと勉強してね、と念を押し

パパには言わないと約束をしてあげた。

が・・・。

やはり呵られた事が気に入らなかった息子、

帰り道で

「今日はどうしてもこっちから帰りたいんだ！！」

と、

いつも通らない道を指さして駄々をこねだした。

でもその道は道幅が狭くて

ベビーカーを押して歩くのはちょっと大変なのよ。

そう言っても息子、聞く耳持たず。

アンタねえ、

いい加減にしないと怒るよ！？

そう脅したら

「僕は自分のやりたい事くらいわかってるんだ！！」

となぜか意気込んで

どうしてもうんと言わない私を置き去りにして

ダーーーーーッと駆け出した。

・・・あ、そう。

息子のその反抗的な態度に腹を立てた私は

きびすを返して反対向きに歩き出す。

・・・ギャーーーーー！！

私がついて来てない事に気がついた息子、

道ばたに座って大泣き。

・・・6歳児を泣かしちゃダメだよね。

それはわかってるんだけど

最近の拗ねてばっかりの息子には

ほとほと愛想がつきていたので

今日は私も堪忍袋の緒がプチンッとキレてしまったのだ。

泣きじゃくる息子の所に行って

「アンタもいい加減にしなさいよ」

と凄み

一緒に帰ってきた私たち。

エレベーターの中でやっぱり

「パパには言わないで」

と息子が言うので

彼の涙をティッシュで拭いて

「パパに何も言われたく無いんなら

　笑顔で家に入りなさい」

と入れ知恵をしてみるも

どうしても仏頂面を崩さない息子。

それでも玄関を入ってすぐに

「今日は学校はどうだった？」

とすぐにやって来た旦那には

「別に」と上手くやり過ごしたはずだった。

・・・はずだったのだけど、

なんと、

娘が突然、

「兄ちゃんは先生の言う事を聞かなかったのよ」

と告げ口！！

アンタ、聞いて無いようでちゃんと聞いてるのねえ。

「どう言う事？」

と旦那に聞かれて

手も洗わずに子供部屋に逃げ込む息子。

・・・仕方ないなあ。

こうなったら全て話すしかないか。

でも出来れば自分の口から説明して欲しかったので

子供部屋の息子の所に行き

「アンタからパパにちゃんと言いなさい」

と言ったのだけど

息子、旦那の質問に黙ったままで

結局、私が詳しく話して聞かせた。

勿論旦那は不満そうだったけど

怒ると言うのではなくて

やはり私と同じように

とつとつと話して聞かせていた。

息子もやっと素直に

「わかった」と言ってくれたので

手を洗ったあと

今日の宿題をさせる事に。

息子の宿題はいつも

連絡帳に貼ってある紙切れに書いてあり

今日のそれは

“BAZAR”と“BIZARRE”を見なくてもかけるようになる事と

“l'ours”言う字をくっつけて書けるようになる事、だった。

・・・あれ？

先生が言ってた計算問題が無いけど・・・？



「ああ、あの紙は、先生の机の上に置いて来た」



・・・って、

ダメじゃん！！

・・・でも

置いて来た物は仕方ない。

こうなったら私が計算問題を作って

息子にやらせるか。

こうして20問くらいの簡単な計算問題をバッと書き

息子にやらせてみたのだけど・・・

6歳児の程度がよくわかってなかったわ、私・・・。

だって

なんで4+8が11になるのさ！？

7+6は12じゃなくて13でしょ！？

・・・どうやら息子

答えが10以上になる計算問題は

まだ出来ないらしい・・・。





・・・息子との戦いはまだまだ続く。





　



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