思えば遠くへ来た私

今日で息子も一学期が終わり

明日からバカンスだ。

数日前から「あと○日行ったら休みだ！！」

と喜んでいた息子、

夕方迎えに行ったらとってもご機嫌で

歩きながら午後に学校でした事を

嬉しげに話しだした。

夕方早めに旦那が帰ってきたので

娘を旦那に託して一人で迎えに行った私と二人で

手をつないでお喋りしながら歩く。

いつもはおざなりに返事をする私だが

今日は息子と二人きりだったので

ちゃんと彼の言う事に相づちを打ち

それが嬉しかったのか

息子のテンションも上がり

いつもおしゃべりな息子がもっとおしゃべりになり

声のトーンもグンと上がったその時。

家の近くのスーパーの前を通りかかると

その店の前に立っていた男の人が私に

「20サンチーム持ってないですか？」

と聞いて来た。

フランスにはそこら中にいるお金を乞う人。

私は勿論聞こえない振りをして通り過ぎたが

その時点でかなりテンションが上がっていた息子が

なんと、通りすがりに振り向いて

「ノーン！！」

と馬鹿にしてでもいるように大声で

その男の人に向かって叫んでしまった。

ひぇーーーーー！！

すぐに息子の肩をつかみ

「他人に対してそんな風に言っちゃダメでしょ！！」

と呵る。

歩きながらその男の人から遠ざかり

低い声で息子に

「もし彼が意地悪だったら

　ぶん殴られる事だってあるんだからね！！」

と脅す事も忘れなかった。

実際、どんな人かなんてわかったもんじゃないし。

道を歩いてると変な人いっぱいいるし。

実際、何が起こるかわからない世の中だし。

家に帰るまでコンコンと呵ったら

なんと、息子、

家のドアの前に着いた途端、

「家には入らない！！」

と駄々をこねだした。

「あ、そう。どうぞご自由に！！」

私も腹が立って

息子の目の前でドアを閉めてやった。

そんな私を見た旦那が

「・・・一体なんだ？」

とマユをしかめる。

道ばたであった事を旦那に話すと

旦那も「そうだな」とは言ってくれたけど

「とにかく家の中に入れてやれ」

と言う。

仕方なくドアを開けると

なんと、同じ階の住人の女の人とその娘さんが

泣いている息子を慰めていた。

ドアを開けた私を見つけた息子は

「家には絶対に入らない！！」

と、いつになく強気。

その上

「僕は怒ってるんだ！！」

なんて言う。

「怒ってるのはママの方よ！！」

と私も大人げなく答えた物だから

隣人に笑われてしまった。

そこにやって来た旦那。

「いいからとにかく入れ！！」

とふくれる息子を一喝し

やっと強情な息子を家の中に入れる事が出来た。

その後、家に入って又言い聞かせると

今度は割と素直に頷いてくれ

母と息子の戦いは終焉を迎えたのだけど。

私は、この息子の態度に驚いていた。

いつもならドアを閉めた時点で泣きながら謝る息子が

今日は自分の我を通そうとした事に

母としてショックを受けたのだ。

・・・これも成長の証なのかな？

隣人の存在も

彼を増長させる要因だったのかもしれないけど

もう私の脅しは効き目が無いのかと思うと

なんか、そんな息子の成長には

素直に喜べない母なのでした・・・。










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