【書籍感想】午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中
書籍の感想です。今回は「午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中」です。午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中 PHP文芸文庫 / 藤まる 【文庫】藤まるさんの本は「時給三〇〇円の死神」などを読んでいて、この本は「魔法道具店」というタイトルから手に取りました。できるだけ人との関わり合いを避けるように生きてきた大学生、遠野晴貴。実は彼には自分では制御できない特異体質があったのです。それは左手で人を触ると、自分の本心を相手に伝えてしまうというものです。正義感の強い遠野の思う本心は「何もそこまで言わなくても」と言われてしまうことが多々あり、嫌悪され、離れていってしまうことが多い。そんなことが積み重なり、遠野はできるだけ人とのかかわりを避け、静かに暮らすようになっていった。しかし、そんな彼に更なる苦難が訪れる。夜ごとに悪夢にうなされ、枕元には鍵束が現れるようになったのだ。しかも、その鍵束、どこかに隠しても、捨てても、翌日には枕元に戻ってきてしまう。困り果てた彼は「不思議現象を解決してくれる」と噂の骨董店「ポラリス」を訪れるのでした。その店の店主は大学でも噂の超絶美女、月城環が営んでいるのでした・・・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの小説での魔術と魔法の定義がなかなか面白いです。魔術は呪文等で発動するいわゆる「奇跡」のこと。一方魔法は人の強い思いが物に定着し、力を持つようになったもの。うまく使えば有用な場合もあるが、制御できなければ想定外のところを力を発動し、想定外の事態を巻き起こすことも。ポラリスは表の顔は骨董屋ですが、裏の顔はその魔法道具を預かったり、魔法道具によって引き起こされた問題を解決したりしています。遠野は環さんに問題を解決してもらった経緯もあり、アルバイトとして手伝うこととなります。それが、自分を、そして、環さんを救うこととなっていくのです。設定もなかなか面白いですが、この月城環さんが相当面白いです。超絶美人なのですが、無愛想に見える性格。しかし、その実態はものすごくつまらない話を本人は笑い話だと思って長々と話してしまうというかなり残念な性格ですw遠野さんと環さんのこのやり取りもなかなかに面白いです。ちょっと軽過ぎる、という感じもしますが、全体的には楽しく読めました。