【書籍感想】無限の月
書籍の感想です。今回は「無限の月」です。無限の月 [ 須藤 古都離 ]聡美は3ヶ月前夫である隆に浮気をされ、それ以来別居しています。正確には浮気と思われても仕方のない光景を見た、というのが正しいでしょうか。帰宅時間がずれていたりで久々に家で夫と会ったのですが夫は裸でベットに寝ていて洗面所には口紅があったのです。口紅の事を問いただすと自分のものだという明らかに嘘と思える事しか言いません。聡美はそれ以来部屋を出ています。そんな中、聡美が怪我をしたことをきっかけに隆と話す機会を得ます。聡美は何となく違和感を感じます。この人は本当に自分の夫なのだろうか?姿形は夫なのですが、話し方や態度が以前の隆とは明らかに違うのです。初めて見る人のように困惑してしまう聡美に隆は3ヶ月前に起きた事件の事を話してくれたのでした。隆はブレイン・マシン・インタフェースという技術を使った会社の社長なのですが、ある時、開発途中で放棄した試作品を興味本位で装着してみたところ、ある夢(?)を見ます。その夢は現実と見紛うほどの現実味を持っていて次第にある事に気付き始めるのです。そして・・・ちなみに本筋にはあまり関係ないような、あるような書道の話が出てくるのですが、すごく面白かったです。設定もその後の展開も面白いのですが、結末が若干投げっぱなしな印象を持ちました。そんな世界になったのなら、その世界の事をもっと描いて欲しかったです。素敵な世界なのか、悲惨な世界なのか、後日談風の軽い書き方なので分からないんですよね。もっと知りたかったなあ。