【書籍感想】デルフィニア戦記外伝 大鷲の誓い
書籍の感想です。今回は「デルフィニア戦記外伝 大鷲の誓い」です。デルフィニア戦記外伝 大鷲の誓い【電子書籍】[ 茅田砂胡 ]デルフィニア戦記の本編はリィが自分の世界に帰って終わりを迎えたわけですが、その外伝となります。最初の数十ページを読んでいる間、本編の後日談だと思って読んでいました。知っている登場人物は出てこないので、誰がどの人の息子なのかなとか想像しながら読んでいたのですが、これは前日譚ですね。バルロとナシアスの出会いと二人の友情がどう育まれていったかという話です。本編ではバルロとナシアスはそれぞれ大きな騎士団を預かる団長で、仲も良いのですが、身分に大きな隔たりがある二人がどうやって言わなくても分かる、言葉で言っている以外の言外の意図を正確に把握できるほとの関係を築けたのか、そんな話です。本編ではナシアスはウォルと一緒にパラストに捕まったとき、敵を欺くためにバルロにデルフィニアを見限ったという手紙を送ります。しかしバルロはそんなことはお見通しで、ナシアスが自由に動けるように散々ナシアスを罵倒した内容の返信を送るのです。それを読んでナシアスは「バルロに意図が伝わった」とむしろ安堵するのでした。そんな関係は単に仲が良いという言葉では表せません。身分などに関係なく、お互いがお互いを思いやり、過ごしてきたからでしょう。少年時代に孤独だったバルロには大公爵という身分を全く忖度することなく良いことは良い、悪いことは悪いと言ってくれるナシアスは本当に得難い存在だったのでしょう。そんな二人のことがよくわかる物語です。