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グレードハウスの朝は早い いやさ、グレードハウスが・・・と言うよりも山の朝は早いと言うべきか。山伏だった御庭番はその辺は心得ていて、普段はウダウダ寝ている癖に、山登りの時は朝は明け五つとか六つとかに起きるのがザラ。ここ新西蘭でもやはり起床は6:00であったので超ヨユー。 (新西蘭は夏時間制なので通常の時差三時間+一時間となる。従って日本時間で牛三つ刻に起床) 眠気を我慢してバイキング形式の朝食で腹拵え。御庭番がこの山伏修行の旅で一番驚いたのが、朝食の充実度も然ることながら、登山中の昼餉並びに行動食まで用意して貰えると言うこと。昼餉はサンドイッチが主なのだが、チーズやハム、野菜が使いたい放題。色々なバリエーションのサンドイッチを作ることができる。日本の登山に比べれば破格の待遇である。 昼餉の準備は後に済ますことにして、御庭番が独りで朝餉食ってると寄って来ましたジンガイ共。年寄りのクセに朝から無駄にテンション高いんですが、何やら御庭番に話し掛けて来る。 ”・・・・・ダイ?” ”・・・ダイ?”って毛唐の言葉は良くわかんねが、会話の語尾だけ何とか聞き取れた。”・・・ダイ、・・・ダイ”って何かしきりに聞いて来る。ダイってオメー”die”かよオイオイ死ね死ね団かこのジジィ共。 とは勘違いで、英米語と豪州語では同じ英語でもeiの発音がaiに訛る。例えばHOLIDAYだったらホリデーでは無くホリダイになるのですな。こいつら "Were you able to sleep a lot yesterday?" "Have a Goodday?" と聞いている事に気付いたので、”あぃひゃぶぐっすりぃぴんぐ”と答えたのだが、 "Really? You talked in sleeping HAHA~♪ " だと。寝てたんぢゃねーのかよおまいらとツッコミ入れてやりたかったが、英語で何て言っていいのか判らんかったから笑ってごまかしていた。 腹拵えと昼餉の支度を済ませグレードハウスを出発。今日の目的地はポンポローナロッジ。クリントンリバーの吊り橋を渡り、川沿いの道を歩いて湿地帯を抜け、途中の山小屋で昼食を採って目的地へと向かう。途中にDEADLAKEと言う、その名からは想像つかない美しい湖がある。御庭番が身支度を整えて、飄々と出発すると、 "Good Morning" と、言う声が。振りかえって見るとガイドのエミリー。白い帽子を被り、アルティメットハイクス社の真っ赤な制服を着ている。キャップの隙間から出ている長い髪が風に靡いていた。 ”ぐっもーにん。いっとぃずふぁいんでぃ。あーゆ?” "キノワヨクネマシタカ?"エミリーは御庭番の拙い英語力を気遣ってか、たどたどしい日本語で話しかけて来た。 ”ああ、夜に何やら鳥の鳴き声がうるさかったが、快適でしたぞ。あれは何だったんであろうかな?” "Oh,キット”キア”ネ。GladeHouseニトマルヒトノShoesヲカクシチャウノ" ”はあー、鳥の癖に夜でも眼が見えるのかね。そう言えばIanがサンダルが無くなったとかボヤいとったな” "フフ。”キア”ハニンゲンコワガラナイカラネ" そんな話をしていたら、先発していたジンガイ共に追い付いてしまった。道は平坦だが、傾斜は確実にあり、御庭番達のペースでは年寄の足にすぐ追い付いてしまう。御庭番はkayneとIanに合わせて歩こうとしたが、エミリーが "サキニイテクダサイ。キョウワタシエンド" どうやら今日は、エミリーが殿らしい。御庭番は山歩きに慣れているので、何かあったら手を貸すつもりだったが、彼女は仕事で来ているのだし、御庭番に気遣いさせては却って申し訳無いので、エミリーの言葉に甘えて先を急ぐことにした。 初夏の新西蘭は肌寒い程なのだが、歩いていると逆に風が心地好い。途中サンドフライに襲われたが、こずえさんに薦められた虫避軟膏の御蔭で酷くはやられなかった。サンドフライはガイドのTOMOYO曰く、景勝地に多くいるってんで、景色のいい処で確かに発生している。 こことか ここや ここな 風が早い為流れる雲も速足で、初夏にしては日差しが強く、絶好の登山日和であった。この辺りはブナの原生林が密集している樹林帯で途中に樹齢800年の赤ブナの大木がある。ミルフォードトラックは、赤・銀・黒のブナ類を中心とする太古の森が広がっているのだが、初夏のこととて新緑の若葉が眩しい程だった。しかし一番驚いたのは鳥の数。御庭番がブナ林から聞こえて来る鳥の鳴き声を真似しながら歩いていると、ロビンやファンテールがこちらを窺う様に鳴いている。新西蘭の森林を歩く時は独りか、複数で歩く時も会話は控えるのがいい。御庭番の様に独りで歩いていると、足音しかせんので、鳥もそんなに警戒しないのである。この言葉の真実を裏付ける実話があるのだが、それはまた後の話―。 暫く樹林帯を歩いていると、ウェットランドの木道が現れた。 『あー!アソーさん、いたーッ』 と同時に突然現れる声のでかいガイド・TOMOYO 『アソーさん、アソーさん、写真撮るならここがいいですよ~』 促されるままに御庭番は湿地帯ならではの珍しい植物を見ながら木道を巻いて歩き、センチネル・ピークのパノラマを背景に何故かTOMOYOと一緒に写真を撮った。余り見所は無いので、御庭番が早々に切り上げてトラックに戻ると、視界の開けた平原に出る。1982年に発生した大規模な土砂崩れ・Big Slipで開けたその平野は、両翼に「垂直に切り立った谷」の大絶景が広がる。雄大な光景を見ながら歩いていると、間もなくDEADLAKEがある。Big Slipに拠って堰き止められたクリントン川の上流にできたこの湖は、新西蘭旅行の広告でも使われる位美しい所。御庭番、左右の名も無き滝を見ながら足早に小川を渡り、さあ、いよいよ 本日の御目当てDEADLAKEじゃ! お?看板が。さてはこの看板の先がデッドレイクか!?ん~?何か書いてあるな。・・・va・・Lanche?ははは、ここで昼飯でも食えってか?まだ早いでござろ~(^▽^) と思いながら看板の文字がよー判らんので、持っていた辞書で調べてみると・・・ ・・・・・・・・・(°ー°;) なんだそるァ(T▽T)!? つまり、”雪崩に注意”って書いてあったのね。よく見るとKeep Outまで書いてあんじゃんかよ、マジかよコイツ(T▽T) (ええ構わん”英語が判らん”とかバックれていっちめぇ!) と行った先から落石発生~♪ (・・・はううっっT▽T!!) すると、何時の間にか追いついていた弾丸娘TOMOYOが 『あー、アソーさん!DEADLAKEは行っちゃダメですよ!先週雨が続いて地盤緩んでるから、崖崩れが起こりやすくなってますからねっ!!』 そう言い残すと、TOMOYOは凄まじい轟音を発ててヒレレ滝に向かって走って行った。ガイドにダメ言われたら行けませんわな。御庭番はやむを得ず、本日の目玉であるDEADLAKEを見ることは諦め、御庭番もヒレレ滝へ向かった。 昼餉を採るヒレレフォールズ近くのシェルターには、既に何組かの参加者が到着していた。皆銘々ランチの包みを開いて休憩を愉しんでいる。トモヨは御庭番よりも少し前に着いた位なのだが、クリスと一緒にツアー参加者に飲み物を配っていた。 『あー!アソーさん!Would you want to something drink!?』 「拙者蜜柑汁を・・・」 『I see,Orange juice,Please』 オレンジジュースと言っても粉末を溶かしたシロモノなのだが、それでも美味しく感じられる。御庭番は見晴らしの良い場所を選んで御手製の昼餉を紐解く。天気は相変わらず良く、右手には滝が見えて、ピクニック気分満喫のランチであった。 『Hi,How are you?』 そう言って声を掛けて来たのは英国から来たGerorgeであった。 「あぃむふぁいんてんきゅー、あーゆ?」 『Good. very fine Today』 ヂョーヂはそう言って空を見上げた。御庭番は昼餉で口をモゴモゴさせながら、目の前の川に浮かぶ黒い丸太の様な物に眼を凝らしていた。朽木が水底で揺らめいているのかと思ったのだが、水面に靡く風の風紋の動きと違う。 「わっぃずでぃぃず?」 『・・・That's Eel』 Eel=鰻か。日本の鰻より遥かに大きい。あの鰻で蒲焼作ったら何人分の蒲焼ができるのかと思いつつ、御庭番は昼餉を全て食べ終わると、蜜柑汁を入れた器を返しにシェルターに戻った。ほとんどのツアー参加者は到着している様で、狭いシェルターの中は満員御礼状態。このツアーは参加者の任意で行動可なので、御庭番は腹拵えも済んだことだし、記念に写真を何枚か撮ってシェルターを後にすることにした。 ヒレレ滝を過ぎてから先は再び樹林帯が続く。時折けたたましい爆音を発ててヘリが飛んでいくが、それ以外は鳥の囀りと風の音しか聞こえない。少々雲が出てきたが、羊の綿の様に白い雲で、雨が降る心配は無さそうだと思いながら歩いていると、大きな湖に辿り着いた。ヒドゥンレイクと言う名のその湖ではスカウプ(新西蘭原産の鴨)の番が、嘴を合わせながら仲睦まじく鳴き声を上げていた。御庭番は時が止まった様に静かな時間と空間を独り占め状態で、しばし時を過ごした。 あってはならないものハッケン (こ、これは・・・(T▽T)!!) 御庭番はさて、何を見てしまったのか!?衝撃の一枚は次号!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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