暖かい人間集団に属しておくこと
平井さんがまだオムツのとれない孫の赤ちゃんを二泊三日で預かりました。嫁が言い残したことは、夜の11時ごろ泣くので、その時にオムツを替えて、少し布団を叩いているうちに寝入ってしまい、その後明け方までぐっすり眠るということでした。ところが預かった当日は1時間30分にわたって泣き続けたというのです。次の日も状況は変わりませんでした。平井さんは次のように分析されています。赤ちゃんがはっきり目を覚ませば、おじいちゃんおばあちゃんが世話をしてくれているという認識が生じたでしょうが、半覚せい状態でとろとろしていてその認識ができなかったのです。そのような状態の時、おかあさんとは違った手さばきのオムツ替えや布団のたたき方であることが、孫を不安にしたのだと思います。その証拠に親たちが帰ってきてからはそんなことは全く起きませんでした。3歳までの子どもは、外部の刺激を受け取ってそれが心の深層で根づいてしまっているように考えられます。体の発達には熱心な親が多いようですが、心の発達、特に情緒面や自発性の発達については無関心でいることが多いものです。育児放棄などはよほどのことでしょうが、共働きで3歳までの子供との日常の接触時間が少なかった。または子供との情緒的な肌の触れ合いを避けてきたという場合は、思春期になって問題が出てくる可能性があります。マズローの欲求5段階説の3番目に、暖かい人との交流を求めて、集団への帰属欲求があるといいます。これが小さいときに阻害されると、トラウマとなってそれ以上の欲求には高まっていくことが困難になります。強迫神経症の対人恐怖の原因の一つになっているかもしれません。そういう自覚があれば、今からでも遅まきながら、そういう信頼しあえるグループをいくつか見つけることが大切になります。積極的に参加するなどして、人間同士の暖かい交流の機会を持つことが大切だと思います。その一つとして生活の発見会の集談会を利用してみてはいかがでしょうか。