回避型愛着スタイルとは
次に回避型愛着スタイルの特性と対人関係について見てゆこう。このタイプは、距離をおいた対人関係を好む。親しい関係や情緒的な共有を心地よいとはは感じず、むしろ重荷に感じやすい。過保護、過干渉の経験者に多いように思う。回避型の考え方の中心は、縛られないことである。人にも依存しなければ、人から依存されることもなく、自立自存の状態を最良とみなす。困った時自分から人の助けを求めることが少ない。他人から一定の距離を保っている方が精神的に楽に過ごすことができる。そして、他人に迷惑をかけないことが大事だと、自己責任を重視する。自分の属する組織や集団とも、気持ちを共有することは少なく、仲間に対して、一緒にいてもあまり意味がないとか時間の無駄であるといった、ネガティブな見方をする傾向がある。積極的に関与することよりも、自分に余計な責任がかからないようにする。回避型のもう一つの大きな特徴は、葛藤を避けようとすることである。そのため、人とぶつかり合ったりする状況が苦手で、そうした状況に陥るくらいなら、自分から身を引くことで事態の収拾を図ろうとする。人への積極的な関与を好まないのも、ある意味、葛藤を避けようとするためでもある。葛藤を抱えられないので、ストレスがかかると、短絡的に反応して、攻撃的な言動に出てしまいやすい。相手の痛みに無頓着なところもある。自分が相手を傷つけていることに気がつかなかったりする。冷静そうに見えて、切れると暴発してしまうのである。対人恐怖症の考え方や行動と一致している。回避型の人は、何に対してもどこか醒めているところがある。クールでドライな印象を与えることも多いが、そうすることで、傷つくことから自分を守っているともいえる。回避型の人は、自己開示を避けるために、コミュニケーション能力が育ちにくい。表情や感情表現も乏しい。鈍感であると判断されることもある。回避型の人は、めんどくさがり屋でもある。やらなければならないことやった方がよいことであっても、厄介なことから逃げたり、手をつけずに放っておくことが多い。自己内省的、観念的で苦悩と葛藤の悪循環が繰り返される。このタイプに川端康成がいる。苦悩と乗り越え方は後ほど見てゆきたい。(愛着障害 子ども時代を引きずる人々 岡田尊司 光文社新書212ページより引用)