☆自主性、自発性の回復について その2
次に高良武久先生が人間関係で楽になる道は、その道のエキスパートになることだと言われている。一つのことを10年も続けていると、その道ではある程度専門家になれる。この道では誰にも負けないという自負があると、少々人から間抜けだ、馬鹿だと言われても立ちあがれないほどの心の痛手は受けないものである。ぜひそういうものを持ちたいものである。コツコツと努力していくのが得意な神経質者は取り組みやすいのではないかと思う。次に自己中心的な人は、内観療法をお勧めしたい。7日間の集中内観を受けると自然と身の周りの人に感謝できるようになる。しかしこれはそのままにしておくと元の木阿弥になってしまう。家に帰ってからも日常内観を継続しておくことが大切である。次に私たちは自己主張が下手なのだから、少しは自己主張の方法を学んでいくことだ。いつも相手のいいなりになったり、我慢して耐えたりしていてはストレスがたまる。小分けにして自分の気持ちを表現していく方法を学んでいくことだ。これはテクニックの問題だ。その方法としてはアサーショントレーニングがある。自分の気持ちを正直に伝え、かつ相手にも配慮した主張的な言い方を会得していくのだ。そのポイントをあげておく。何かの本で見つけたのだが、忘れたので資料名を示せないのでご了解いただきたい。1、自分の気持ちを考える我慢したり押し殺したり、感情任せになるのではなく、自分の正直な気持ちはどういうものなのかをしっかりと考える。2、つぎに相手の気持ちを考える。自分の気持ちを一方的に伝えるのではなく、それを言われた相手がどのように感じるのかということを考える。3、自分を主語にして発信する。「私は・・・」という表現を用いることで,自分の気持ちを伝えやすくなる。攻撃的表現になりがちな人は「あなたは・・・」と相手を主語にしていることが多い。相手を主語にすると,どうしても否定的になりやすいし,相手を責めた口調になるので気をつける。これは「あなたメッセージ」から「私メッセージ」への発信の転換である。4、前向き,肯定的な言葉を用いる「できない」などの否定表現や自分の立場だけを考えた言葉は使用しない。「~したらできる」など,肯定的でポジティブな言葉を使用したほうが相手も受け取りやすい。5、気持ちを伝える自分の感情・気持ちを表す言葉を用いることで正直な気持ちを伝えやすくなる。「~していただけると嬉しい」,「~だと助かります」,「~で困っています」など。6、お願いの表現を用いる「こうすべきだ」,「こうしなさい」などと支配的,一方的に言うのではなく、「~してほしい」という表現のほうが受け取りやすいし、お互いに意見が違っていても協力的に進めやすい。たとえば・・・Aさんは顧客のトラブル対応のため、明日までに宿題を仕上げなくてはなりません。残業は確定です。下手をすると徹夜になるかもと覚悟したその時、上司のBさんがやってきてこう言います。「さっきMailしておいた報告書の件だけど、明日までに仕上げてね。よろしく。」この場合、Aさんは上司Bさんにどのように返答すればより良い結果が生まれるでしょうか?一例を挙げると・・・「実はお客様から宿題を頂きました。明日までに仕上げなくてはならないので、申し訳ないですが報告書の作成は今は出来ません。」と、ていねいに、しかし、はっきりと伝えます。その上でスケジュールを確認し、「明日のXX時以降でしたら報告書作成に取り掛かれそうなのですが、いかがでしょうか?」と前向きな対案・提案を行うことができればとても良いでしょう。自分の意見も相手の意見も大切にしており、意見の食い違いがあっても歩み寄ろうとする姿勢が見られます。たとえ自分の意見が通らなくても、相手に自分の気持ちを率直に伝え、対等にコミュニケーションができたことで、お互いにストレスを感じることもなく、さわやかな印象が残るだろうと思います。最後に、ユーモアあふれる生活を送る。これについては、6月1日にその一端をご紹介しているのでご覧ください。我々は楽しむために生れてきたのだから、大いに人生を楽しみましょう。そしてそのおすそ分けを周りの人にしましょう。これらを実践して、生活という車輪が少しずつ前に向かって進み出すとしめたものだ。そのうち弾みがついて、新しい気づきや発見が増えてくることだろう。その時は対人的な悩みは、あることはあるが気にならない程度にしぼまっていることだろう。初めから目一杯のところを目指さないで、1年経って少しは違う自分がいるというぐらいがちょうどよい。