「かくあるべし」を少なくするために
神経質の人が嫁入り後、次のようなことから、神経症がますます悪くなることがある。それは自分が嫁として、良妻・賢母として、誰から見ても非の打ちどころなく、完全な善人になりたいという欲望を押し通そうとし、つまり理想主義にかぶれるために、舅・姑や小姑に対して、日常赤裸々の感情でなく、強いて心をまげてかかるから、周囲からも、かえって不自然なヒネクレのように見られ、自分が善人の義理立てを立てれば立てるほど、かえって周囲から虐待されて、反対の結果になり、その苦しみが重なり重なって、ついには神経症になるのであります。このような人は、入院して精神修養をなし、自然の人情にかえり、心機一転すれば、今までのように、自分が強いて善人になろうとする事をやめ、自分はこれだけのものである。無理に悪人と思われないように、骨を折る必要もないという風に、おうようになり、自然に心も安楽になり、心にこだわりがなくなって、日常生活が、自由自在になり、神経症が治るのである。(森田全集第5巻 205ページ)神経症になるような人は、「かくあるべし」という理想主義、完全主義、結果第一主義、コントロール欲求の強い人が多い。なかなか事実、現実、現状をあるがままに認めようとしない。特徴としては、弁解、言い訳、ごまかし、隠蔽、非難、否定、責任転嫁のオンパレードである。そういう体質の人は、普段からそのオーラを醸し出していて、敬遠されている。他人の行動に対していつも批判的、否定的に見ている人は人望はないのである。人と仲良くしたい、人から尊敬されるような人になりたいという強い欲望はいつまでもかなえられることはない。その悪循環を自覚することが重要である。次に、現実でのたうち回っている自分と、それを見下ろして非難や否定を繰り返して分断している自分を和解させることが必要となる。雲の上にいて、現実の自分を非難・否定ばかり繰り返している自分が地上に降りていく必要がある。つまり自分の中に存在している2人の自分が一人の自分になる事である。森田理論ではその手法については、何項目にもわたって説明している。全部に取り組まなくても、いくつかを心掛けて生活することで、少しずつ近づいていく。そうなれは神経症的な葛藤や悩みは、霧散霧消してくる。そのヒントをこのブログの「事実本位・物事本位」のカテゴリーから見つけ出してほしい。370本の投稿があるので、その中からあなたに合う手法が見つかる事だろう。主な項目を挙げておく。「かくあるべし」の弊害を理解する。事実を観察する。先入観や思い込みは事実から離れていく。真実かどうか実験によって確かめる。相手に伝えるときは具体的、赤裸々に話す。両面観で判断する。相手の話を十分に聞いて理解する。相手と対立したときは話し合いによって調整していく。安易な価値判定をしない。「純な心」から出発する。「私メッセージ」で話す。事実には4つの事実があるので、理解を深める。