成功体験の固定化について
昨日の続きです。私たちが行動する時は、蓄積されたエピソード記憶を引き出してきて検討している。そのエピソード記憶は、8割くらいは、うまくいかなかった、失敗して恥をかいた、後悔した体験で占められている。そういう悲観的、ネガティブな記憶をもとにして検討しているために、「ダメだ」「無理だ」「難しい」「できない」「どうせまた失敗する」「恥をかくだけだ」などと結論づけて、前向きな行動を回避している。行動しないで、傍観する態度では、生きがいとは無縁な生活に甘んじることになります。ではどうすればよいのか。これは私たちの思考には「認知のバイアス」がかかっているということです。つまりバランスが悪い。片寄より(偏り)があるということです。これをしっかりと認めて行動することが大切になります。人間は何もしないとネガティブな長期記憶に振り回されるということです。これが認識できれば、今後の対策が立てられます。これは、裏を返せば、人間には成功や達成や喜びの体験もたくさんあるのですが、長期記憶として固定されていないのです。そこで、生まれてから今までの沢山の体験の中から、成功体験を思い出して書き出し、整理して固定化することが大切になります。誰でも成功体験はあると思います。ところがきちんと保存されていないので、記憶として引き出すことができない。2021年11月27日にソフトバンクの孫正義さんのエピソードを紹介しました。福岡でアルバイト社員2人を雇い会社を立ち上げました。そのときにみかん箱の上で、将来はこの会社を世界一の会社にしてみせると挨拶されたそうです。普通に見ると、誇大妄想のような発言ですが、アメリカにわたり数々の成功体験を積み重ねていたことがその根拠になっていたということでした。もし成功体験をしっかり意識していなかったとしたら、絵に描いた餅になっていたことでしょう。私の場合もささやかながら成功体験を持っています。いくつもの国家試験に合格したこと、トライアスロンで完走できたこと、集談会でのいろいろなイベントを成功させたこと、心の健康セミナーを成功させたこと、会社の移転のプロジェクトを成功させたこと、老人ホームでの慰問活動を続けていること、いろいろな一人一芸を身につけたこと、家庭菜園で立派な野菜を作れるようになったこと、福助(大菊作り)で大輪の花を咲かせたことなどです。つぎに私たちは、雑多な社会体験が少なく、そもそも成功体験を積み重ねていないことが考えられます。この場合は今からでも遅くはありません。日常生活の中で小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。それを日記などに書き留めていく。そして小さな自信をつけていくことです。小さな自信に支えられて、自己肯定感が獲得できることを信じる事です。集談会に参加している人でしたら、幹事や世話役になって運営に参加することで、いくらでも成功体験を増やすことができます。エピソード記憶にはバイアスがかかっているので、普通に考えると積極的で前向きな方向には向かわないことを意識してもらいたいと思います。特に神経質性格者の場合は、石橋を叩いても渡らない傾向がありますので要注意です。この点に関しては、2021年12月22日に投稿したネガティビティ・バイアスも参照してください。