作業療法の意味について
森田先生や高良先生の入院療法には、作業療法が組み込まれていました。ご飯を炊く、料理をする、風呂を沸かす、庭掃除をする、家の修理をする。工作をする、拭き掃除をする、肥汲みをする、ニワトリやウサギにやるクズ野菜を拾ってくる、お使いをするなどです。高い入院費を支払っているのに家事をさせられていたのです。家族が見舞いにやってきて、その姿をみて憤慨して退院させたこともあったようです。本人もここまで落ちぶれたかと意気消沈する人もいたという。何のためにこんなことをさせていたのか。これはそれぞれの作業に取り組む中で、問題点や改善点、課題や目標を見つけ出すことを促していたのだと思います。そういう発見や気づきを得ると、工夫やアイデアが生まれて、意欲的になります。問題点や課題が明確になると、それを何とかしたいと思うのが人間の習性だと思います。この考え方は今の仕事が面白くないと考えている人には、それを改善するヒントになります。普通仕事は最初から意欲的になれるものではありません。自営業の人はともかく、一般的には人の役に立つこと、会社から指示命令されていることに取り組むわけですからなかなか意欲的にはならない。仕事はつらいものだと考えている人は、改善することをあきらめて、生活を維持するための必要悪だと考えている人が多いのではないかと思います。そういう人は、森田療法を参考にして、仕事を面白くするように取り組むことをお勧めします。目の前の仕事に取り組むときに、イヤイヤ仕方なしに取り組むよりも、問題点、改善点、楽しみを最低1つは見つけようと意識して取り組むようにするのです。そして見つけ出した宝の山を忘れないようにメモするようにするのです。すぐに改善できるものは即実行に移す。しかし実際には時間がない。仕事の流れがあって余裕が出てきたときに取り組むことが多いように思います。仕事が一段落したときに、そのメモを取りだして見る。そして段取りを組んで、効率よく取り組む。自分でできないときは、他人に相談する。他人と協力し合ってとり組む。納期があるものはスケジュール表に書き込んでおく。私は現在マンションの管理人をしていますが、巡回しているといろんなことに気づきます。鳥の糞がある。落ち葉が飛んできた。面格子に埃がたまっている。エレベーターの溝に埃がたまっている。クモの巣がある。ドアに手形がついている。面台が汚れている。雨が降って側溝の汚れが目立つ。解放廊下が黒ずんでいる。ドレンにゴミがたまっている。トイが外れている。ゴミ箱にごみが散乱している。収集されなかったゴミ袋がある。等々。これらを問題点として仕事がイヤになるのか、仕事を面白くする宝の山と捉えるのか、その後の展開が大きく違ってくると思います。仕事は1日の3分の1以上の時間をしめています。その時間が楽しみそのものになるのか、苦痛そのもののになるのかは、ちょっとした心がけ次第なのです。