カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
5月の生活の発見誌に札幌医科大学の田所重紀医師が「笹舟モデル」を紹介されている。
源流から大海原へと注ぐ川を想定すると、源流から大海原へと至る大きな流れが「欲望」であり、その過程にある川の蛇行部や、岩や流木などの障害物の周囲に生じる小さな流れが「感情」に例えられます。 人間はこの川に浮かべられた笹舟に喩えられますが、小さな局所的な流れとしての「感情」に身をゆだねて巧みに障害物を避けつつ、大きな大局的な流れとしての「欲望」に沿って大海原へと流されていく有り様こそ、「あるがまま」が表現する理想的な心理的状態だというわけです。 このように考えていくと、森田療法とは、「はからい」と「とらわれ」の悪循環から離脱し、この「あるがまま」の状態を体得し、それを維持するための精神療法だということになります。 田所先生は、「すなおにはからい、とらわれまくる」と指摘されています。 気になることには、一旦はきちんと注意を向けていくことだと思います。 但しそのまま注意を一点に向けたままにしてはいけません。 車の運転中、左にカーブしているところでは左の白線に注意を向けています。 右カーブでは中央の白線(あるいは黄線)に注意を向けています。 交差点で右折するときは、信号、対向車、交差点の人の動きなどに注意を向けています。 他のことを考えながら、うわの空で運転していると事故につながります。 ここで肝心なことは、一つの安全確認が終わったら、次の気になるところに注意を移すことです。 いつまでも同じところに留まっていてはいけないのです。 晴天の日に拡大鏡で太陽の光を一点に集めると、新聞紙はすぐに燃え上がってしまいます。 ある特定の不安や不快感に注意を集中していると、火事になってしまうこともあります。 つぎに神経症的な不安の裏には欲望があると言われています。 これらの不安には手を付けないで、裏側にある生の欲望に力を入れていく。 そのためには、規則正しい生活習慣を確立することから取り組むことをお勧めします。 毎日同じ時間に同じことをするというルーティンワークを確立することです。 起床時間と就寝時間を厳守することから始めましょう。 土曜、日曜日、祝日は、普段メモしておいた懸案事項に取り組む。 心構えとしては、凡事徹底に取り組む。物そのものになって一心不乱に取り組む。 気づき、発見、工夫、改善点が見つかるようになるとしめたものです。 「あるがまま」の体得は、このような手順で身に着けていくものだと思っております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.22 06:20:10
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