カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
ナチの強制収容所から生還を果たしたフランクルは、極限状態を生き延びた人を分析して、その特徴を3点をあげています。
この3つの特徴を森田理論で考えてみたいと思います。 1、未来に対して目標や夢や希望を持ち続けていた人。 2、人に生きる力を与え、過酷な状況にあっても生き長らえるためには、肉体の頑強さでも、世渡りのうまさなどではなく、心のよりどころとなりえる精神的支柱を持っていた人だった。 信仰を持っていたり、その人独自の人生観を確立していた人であった。 3、飢餓状態の中で、相手のことを思いやる精神的余裕をもっていた人である。 仲間に自分のパンを与え、あたたかい励ましの言葉をかけ続けていた人である。 自己中心的な人は一時的には生存に有利に見えるが、生還を果たすことを難しくしていた。 悲しいかな人間は極限状態に置かれると、天使と悪魔に分かれてしまうのです。 1についてですが、フランクルは絶望して希望の見えない二人の人に次のように助言している。 あなたには、あなたのことを待っている誰かが、どこかにいませんか。 あるいは、あなたによって実現することが待たれている何かが、ありはしないでしょうか。 たとえば、やり残している仕事、あなたがいなければ実現されることのない何かがあるのではありませんか。よく探してみて下さい。 あなたを必要としている誰かがいるはずです。あなたを必要としている何かがあるはずです。 すると二人はしばらく考え、一人は、自分には外国に子供が一人いる。 その子は自分を待っているはずだ。もし自分が死ねばその子は肉親が一人もこの世にいない子になってしまう、と答えました。 もう一人は、自分は科学者であり、書きかけの著作の原稿がある。 それはシリーズであり、それが完成するまでは死ぬに死ねない思いがある、と答えました。 二人とも、自分を待っている何か(誰か)がこの世にあることに気づくことで自殺を思いとどまったのです。 私たちは、生きるというのはあくまでも自分の意志の問題であり、あたかも自分の内部から湧いてくるもののように考えがちですが、実際にはそうではないことが多いのです。 人間という存在の本質は、自分でない誰か、自分ではない何かとのつながりによって生きる力を得ているところにあります。 自分を待っている何か(仕事)、自分を待っている誰かとのつながりを意識した人は、けっしてみずからの生命を絶つことはない、とフランクルは言っています。 (100分で名著 フランクル 夜と霧 諸富祥彦 要旨引用) これは森田理論でいうと「生の欲望の発揮」ということになります。 「生の欲望の発揮」は難しい言葉のように思えますが、その基本は日常生活を規則正しくものそのものになりきることだと思っております。 2は明日の投稿といたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.08.06 06:47:04
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