カテゴリ:行動のポイント
7月号の「生活の発見誌」に次のような記事(43ページ)があります。
森田先生の頃は入院療法で、皆で共同生活をして、食事当番、掃除当番、風呂炊き、肥汲み、小動物の世話、植物の世話等々、役割分担をして仕事が割り当てられていたそうです。 新しい人から古い人まで適宜に森田先生が決められていたそうです。 やはり新しい人はその仕事になかなかなり切れず、自分の症状を治すための仕事しかできなくて、気が利かないことばかりしていたそうです。 ベテランになるほどものそのものになり切ることができた。 症状から離れて、他人に役立つ仕事ができるようになったそうです。 退院後もよく気が付くようになり、尻軽く行動できるようになりました。 体重も増えて周囲の人がびっくりしたというエピソードはあまたあります。 森田先生は神経症を克服するためには、規則正しい生活と日常茶飯事に丁寧に取り組むことだと考えられていたのだと思われます。 神経症に陥るような人は、生活が不規則になっています。 不快な感情や気分に振り回された生活をしています。 日常茶飯事は手を抜いて親や配偶者や周囲の人に依存している。 自分としては意味のある仕事やクリエイティブな活動に専念したいと思っていたのです。入院生にとっては、今までの価値観の大転換を迫るものでした。 自分もここまで落ち込んだかと涙を流す人もいたようです。 雑巾がけをしている入院生の姿を見て、憤慨した家族が退院させたというケースもあったようです。 当時の知識層は、都会で一旗揚げて故郷に錦を飾りたいと考えていたので、森田先生の入院療法には抵抗感が強かったのです。 森田先生のところへ入院すると、社会から隔離して臥褥から入ります。 これは生の欲望を持った神経質者かどうか、また40日間の入院に耐えられるか見極めておられたのだろうと思います。 その後は共同生活の中で、生活に必要な作業に丁寧に取り組ませました。 神経症を治すための薬物療法は行われていません。 神経症を治すために特別に時間をとって講義をされることもありませんでした。 必要な作業も自分自身で気づいてやるべき課題や目標を見つけ出すように指導されていました。 現代は、故郷に錦を飾りたいというような欲望を持っている人はいません。 ただ神経症を治したい、不安を軽減したい、楽な生き方を見つけたい、人間関係を改善したい、子育てに応用したい人が多いと思います。 現在森田理論学習をしている人は、森田理論を理論として学び、内容を理解することで満足する傾向が強いように思われます。 理論を学んだあとで、自分の生活の中に取り入れてみることが大事です。 森田理論の学習会では、実践・行動と森田理論学習は車の両輪として取り扱うことが大事だと学びました。 例えば、規則正しい生活をすることが肝心だということを学びました。 そのなかで、一つ一つの日常茶飯事に丁寧に取り組みましょうと学習しました。 ものそのものになりきることができると、次々に気づきや発見が見つかり、行動に弾みがついてきます。 これは森田理論の活用という面では、基本中の基本だと思います。 この基本が確立されている人は、たとえ神経症で苦しんでいても、神経症に振り回されて精神面や生活面で泥沼の状況に陥ることは回避できます。 この2つに愚直に取り組んでいる人の話はとても刺激的で参考になります。 波及効果が生まれて、まわりの人みんなが幸せな気持ちになります。 そういう話が自己紹介や体験交流の場でどんどん出てくることを期待しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.12 07:49:50
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