カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
俳句の夏井いつき先生のお話です。
俳句の世界ではよく「生憎(あいにく)という言葉はない」と言われます。 「今日は生憎の雨で桜を見ることができない」 これは一般人の感覚ですが、俳人たちは「これで雨の桜の句が詠める」と考えます。 雲に隠れて仲秋の名月が見えない時には「無月を楽しむ」、雨が降ったら「雨月を楽しむ」と捉えます。 これは日本人ならではの精神であり、俳人の心根にあるものなのかもしれません。 その精神で俳句を続けていくと、個人的な不幸や病気、苦しみ、憎しみなどマイナスの要素のものが、すべて句材と思えるようになるのです。 私たちの仲間でも、病気や家庭の事情などを抱えながら頑張って生きている人がたくさんいます。 引きこもっていた人が俳句に出会って外に出歩けるようになったとか、視覚に障害を得て落ち込んでいた人が元気になったとか、大切な家族を亡くされた人が俳句仲間に支えられて立ち直ることができたとか、そういう例は枚挙にいとまがありません。 それまで何をやってもマイナス思考で、螺旋階段をグルグル回りながら果てしなく下っていくように生きていた人が、物の見方が全く変わっていきいきとした人生を生きるようになる。 これこそが俳句の力ではないでしょうか。 その他、俳句を詠む人間は俳句の題材を求めて外に出かけるようになると言われている。 このことを俳句の世界では「吟行」といいます。 仲間と一緒のピクニックなどはもちろんですが、例えばタクシーに乗っている時もご飯を作っている時も、その心持さえあればすべてが吟行です。 目や耳など五感から入ってくる情報でアンテナに触れるものがあればすぐに掬い取って句帳にメモし、その五感を頭の中で変換し文字に変えていきます。 (一日一話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書 藤尾秀昭 致知出版 74ページ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.28 06:20:07
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