一般的には、ある分野で使い物にならない場合、その人の人間性まで否定して、全てダメ人間として取り扱うことがあります。
青山学院大学陸上部監督の原晋氏は陸上ではほとんど成果を出していないダメ選手でした。
しかし中国電力で営業をやらせてみたら、今まででは考えられないような突出した実績をあげて、光り輝く人間に変身しました。
さらに青山学院大学陸上部で監督をやらせてみたら、これまた前人未到の成果を出して期待に答えました。そして大学の知名度をアップさせました。
一見ダメ人間に見えても、その人の能力に見合った適材適所の働き場所を提供すれば、人間は底力を発揮するということだと思います。
自分は何をやってもダメだと思っている人。
あいつは何をやらせても箸にも棒にもかからない奴だと決めつけてしまう人。
そんな風に自分や相手を見限ってしまってもいいのでしょうか。
あなたがイライラする前に、その人も自分の能力や可能性が見いだせないで苦しんでいるのです。
そのやり方は、本人にとっても社会にとっても不幸になることではありませんか。
そんなことをしていると、天に唾するようなもので、いずれ自分に降りかかってくるのではありませんか。
今の仕事に問題を抱えている人は、持っている能力と活躍の場のミスマッチが起きているのだと考えるのは如何でしょうか。
どこかに自分の能力をいかんなく発揮できる場所があるはずだと考えると、生きる勇気が湧いてくると思います。
やむなく退職することになっても、この会社では成果を上げられなかったけれども、あなたの性格や能力に合った仕事を見つけて頑張ってくださいねと送り出してあげる気持ちのゆとりが欲しいものです。
その人の活躍の場所はどこかに必ずあるはずだ。
かすかな希望を持って、寄り添い見守ってあげることはできないものでしょうか。
これは森田理論でいえば、「物の性を尽くす」ということです。
この考え方は、「己れの性を尽くし、他人の性を尽くす」ということにつながります。
原晋さんの逆転人生を見ていると、どんな人間でもその人に合う居場所を与えると、水を得た魚のように元気になるということがわかります。
原晋さんは中国電力陸上部からは冷たく追い出されてしまいましたが、今では中国電力のCMに抜擢されるようになりました。
広島県呉市の音戸の瀬戸を通過するフェリー