カテゴリ:第3章 約束の地へ
第3章 約束の地へ 目を覚ますと、辺りは薄暗い夕闇に包まれていた。 「ここは?」 ベッドの上だ。 体を起こそうとした時、背中に走った痛みに被弾したことを思い出した。 「そうだ。僕は……」 リン・イーレイからアリシアを奪い、それから…… 「車に乗って……」 ん? 乗ったんだっけ?いや、乗ったような気がする?? いや、待てよ。 でも、運転してない、……ような気がする。 僕はここまで思い出してから、全身から血の気が引いた。 「アリシア!」 ベッドから飛び降りたけれど、引きつるような背中の痛みにその場に蹲った。 『無理しちゃだめよ』 『え?!』 薄闇から聞こえる声に思わず顔を上げた。 『ずいぶん、男っぽくなったのね』 僕は声のする方に視点を定め身構えた。 『誰だ?!』 薄明かりが声の主を照らし出し、僕は「あっ」と声を上げた。 『お久し振り。随分起きないから心配したわよ』 『まさ……か……』 数年振りに見る彼女は、以前と変わらず、艶かしい(いや、前よりも一層と言えるかもしれない)微笑みを湛えていた。 『敏子さん』 『本名で呼ぶの止めてくれないかしら。ダサイったらないわ』 相変わらずの彼女の話し振りに、やっぱり、敏子さんだと確信し、辺りを見渡した。 ここは日本なのか? いや、アメリカなのか? 今まで夢を見ていたのか? それともこれが夢なのか? 僕は混乱の中、ベッドから立ち上がった。 ↑ランキングに参加しています♪押して頂けるとターっと木に登ります 「フラワーガーデン1」はこちらです。良かったらお楽しみ下さい♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.06.26 00:47:46
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