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2009.07.01
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カテゴリ:第3章 約束の地へ

僕は神経を集中させ、回りの微かな音にも気を配りながら、一歩一歩敏子さんの方へと歩を進めた。
敏子さんは僕を見上げると、クスリと笑った。

『以前は私と同じ位の背だったのに……。もう“少年”なんて言えないわね』

敏子さんの笑顔を見ながら、現実感の無い、それでいて例え様のない不安に襲われた僕は彼女の肩を掴み、揺さぶった。

『なぜ、あなたがここに!?それに、アリシアはどこに……』

ここは間違いなく日本ではなかった。

この部屋の窓の向こう側に見えるフォード車とその英字ナンバープレートに一瞬目を止めると、そう確信した。
彼女はよろめき、その顔には明らかに困惑の色が浮かんだ。

『あんたこそ、どうしてこんなところにいるのよ?』
『それはこっちのセリフ……』

カタン

扉の向こう側からする突然の物音に、僕は敏子さんを床に伏せさせると、扉の横ににじり寄った。

『テツヤ?』
『しっ!』

ノブに手を掛け、ゆっくりと回した。
扉の向こう側には誰もいなかった。

肩で安堵の息を吐くと、そのまま扉を向こう側へと押した。

「おはよう。ようやく起きたようだな、藤枝哲也君」

僕は扉の真横に寄り掛かるようにして立っているリン・イーレイと目が合い、身構えた。


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Last updated  2009.07.02 00:33:56
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