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カテゴリ:レバノン生活編
レバノン南部には、ユネスコの世界遺産に指定されたティルスの遺跡がひっそりとたたずんでいます。レバノンもまだまだ日本人にとっては馴染みがない国ですから、ティルスなんてもっと馴染みがないことでしょう。でも聖書に造詣の深い方なら、ティルスという名前が聖書の中に何度となく出てくることにお気づきでしょう。 ティルスは、現在ではアラビア語で「スール」と呼ばれています。ティルスは、フェニキア人の主要な港として発展。今から4000年ほど前から都市国家として存在していました。非常に美しく、豊かな富に恵まれたティルスは、「海の女王」として君臨していました。 この都市は、実は2つの部分で構成されていました。1つは本土にあり、もう1つは島にありました。本土側はバビロンによって陥落し、島側はアレキサンダー大王によって征服されました。 アレキサンダー大王の進軍に最後まで抵抗した唯一のフェニキア人国家がティルスです。島側のティルスが降伏を拒んだため、アレキサンダー大王は島側の都市を攻囲します。その攻囲の期間、実に7か月。アレキサンダー大王は、ティルスの本土側市街の瓦礫をこそげ取って,島との間の約1キロメートルを埋め立てて土手道を築き,そこを滅ぼしたのです。下の写真は島側のティルス遺跡ですが、アレキサンダー大王が築いた土手道が今でも残っています。
聖書のエゼキエル書の中には、アレキサンダー大王がティルスを征服するずっと前に、ティルスの石や木工物や塵が「水の中に」置かれるであろうと予告されていました。何百年もあとに、実際にアレキサンダー大王が旧市街の瓦礫という瓦礫を水の中に放り込んで約1キロもの土手道を築いたときに、聖書の預言通りになりました。 かつて海の女王として君臨したティルスですが、現在ではローマ時代の遺跡がひっそりと残るだけです。 世界遺産ではありますが、入場料は無料。観光客もほとんどいません。特にレバノン南部はイスラエル国境に近いことから、「紛争地帯」というイメージが定着し、観光客の足は遠のいています。 そんなひっそりとした観光地ですが、ティルスの海は本当にきれい。ザザーッ、ザザーッと押し寄せては引き返す波がひっそりたたずむ遺跡と共に「盛者必衰の理(ことわり)」を表しているのです。 夏休みはヨルダン散歩。http://picturesque-jordan.jp/japanese.aspx 応援してくださる方はクリックしてくださいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.06.15 17:58:22
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