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月の砂漠-ヨルダンから

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2011.11.30
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日本の一部の新聞の社説で「シリア大統領退陣」が要求されていますね。アサド大統領が退陣したら、物事がすべて解決するかのように。本当にそうでしょうか。そもそも、シリアという国を知らない人がこうした社説を書くことに疑問をいだきます。

この社説の筆者にとって、中東のシリアが「なじみの薄い国」であることは文面から読み取れます。この人は知っているのでしょうか、シリア人が日本人をまるで同士のように敬愛していることを。この人は接したことがあるのでしょうか、一度接したら惹かれずにはいられないあの人懐っこい愛すべき国民と。この人はあの美しき国土を一度でも踏んだことがあるのでしょうか。

クラック・デ・シュバリエシリアの事情は、アサド大統領が退陣したらそれでよい、というような簡単なものではありません。これはどのアラブ諸国でも同じです。「同じ中東のイエメンでは、サウジアラビアなどの仲介でサレハ大統領が権力の座を降りることを表明した。エジプトではムバラク政権崩壊後初の議会選が始まった」と某社説で書かれていますが、改革という名のもとに、どこもここも単なる混乱ではないですか!!

そもそも俗に言う「アラブの民主化」は本当に可能なのでしょうか? アラブとは、基本的に部族社会。1にも2にも身内優先。そんなアラブ社会に民主化が可能かどうかは、アラビアのロレンスの時代にすでに答えが出ているのではないでしょうか。

シリアではクルド人も蜂起し始めていること。シリアのみならず、多種多様な民族が入り混じった中東では当然のことです。とにかく我優先・身内優先の各民族は、自分たちの利益を拡大する道を絶えず探っているのです。シリア国内のゴタゴタに乗じて、こうした独立・自由拡大の声が高まるのは、起きるべくして起きたこと。

言葉も習慣も違う他民族・モザイクのように入り組んだ多宗教をたまたま抱えた大国シリア。たまたまモザイク国家だったゆえに、たまたま時代の流れに逆らえず、たまたまが重なって何たる不運。

アサド大統領は現時点でも治安部隊を組織しきれていないと思います。アサド大統領がすべてを容認しているのではなく、若くてオープンマインドな new generation の彼には古株 (old generation) を抑制する指導力がどうしても足りない。こうした状態では、アサド大統領が退陣しようがしまいが、状況は変わらないのではないでしょうか。

私は政治的には中立ですので、アサド政権を支持するわけでもなく、アサド退陣を要求するわけでもありません。政治に関しても全くの素人です。ただ前のブログで紹介したとおり、シリアが「アサド政権が続いてもダメ、倒れてもダメ」というどうにもならない状況に陥ってしまったことだけは素人目にも分かります。

シリアも、アサド大統領が退陣しようがしまいが、いずれにしても混乱の度を極めて行くことでしょう。今後のシリアがどうなるかは私たちには分かりません。犠牲者の数がこれ以上増えないよう、ただ願うばかりです…。


足跡年末年始はヨルダン散歩。http://picturesque-jordan.jp/japanese.aspx





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最終更新日  2011.12.01 23:40:04



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