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2012.02.06
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カテゴリ:レバノン生活編
今回日本に持って帰ってきたレバノン土産の中に、シナモンと幾つかの中東の香辛料があります。これは私と仲良かった友達が持たせてくれたもの。実はこの友達は今から2週間ほど前、私が日本に一時帰国する直前に亡くなってしまいました。シナモン

先回のブログでもご紹介したとおり、レバノンではガンが尋常ではない勢いで増えています。私のレバノン人の友達にもガンの人が多い。今回亡くした友達は私よりかなり年上でしたが、同じ独身だったせいか、あるいは単に波長があったせいか、いえ、きっと両方だったのでしょう、とても仲良くしてくれていました。言語の壁があったものの、なぜか不思議と通じ合う仲でした。

よく彼女の家で一緒にランチをしたものです。月に1回抗がん剤治療をしながら、10年以上ガンと闘っていました。レバノン女性にありがちな派手さやプライドが彼女には全くなく、知的で清楚、中国や日本といったアジアの文化が大好きでした。

私がスペインへ渡るちょうどその頃、脳にガンが転移していることが分かったのです。スペイン滞在中、彼女が急速に弱っていることを伝え聞いて、居ても立っても居られない思いでした。レバノン帰国後にすぐに会いに行きましたが、すでに歩くことができず、話すことも難しくなっていました。

「また来るね」と言いながら別れたその日、2日後に彼女が亡くなるとは夢にも思わず…。その後、お葬式があり、埋葬があり、「慰めの日」が続き…たくさんの人がやってきて彼女の死を悼みました。

スペインから帰ってきて会った時、すっかり弱って変わり果てた姿に、「これはまずい。この彼女を置いてレバノンを去れない」と思いました。彼女は死を予期していましたが、3,4カ月はもつだろうと彼女なりに予想していました。そんな友達に「サヨナラ」を言って、自分だけ日本に帰ることができるだろうか…と心がズキズキ。

ところが、その2日後に彼女は息を引き取り、私の手元には元気だったときに一緒に撮った写真と彼女が持たせてくれたシナモンが残りました。

大好きだった友達を失ったことで、私も相当な打撃を受けました。が、短い期間ながらも彼女の死までここにとどまったことで、レバノン生活に一つの区切りがついたような気がしています。

スペイン→レバノン→ヨルダン→レバノン→日本と移動し、最後のレバノンでの滞在は10日間ほどでしたが、この期間が1か月にも半年にも感じられるほど、凝縮した10日間でした。でもこうして、レバノン生活に自分なりの区切りがつき、何か吹っ切れた感があります。

亡くなった友達は、痛みから解放されて今は眠っていることでしょう。


足跡春の中東散歩。http://picturesque-jordan.jp/japanese.aspx

 






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最終更新日  2012.02.07 21:01:34
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